アルストロメリア (ページ30)

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海の家でお昼ご飯食べてしっかりかき氷も食べて。その間もシャッターは止まることを知らんどころかめちゃくちゃ撮られてた。
恋人らしくたこ焼き食べさせあったりとか、1個のかき氷2人で分け合ったりとか。

その後もビーチボールで遊んだり、砂でお城作ったり、手を繋いで砂浜お散歩したり。そんなことしてる間にいつの間にか太陽は夕陽へと変わっていた。

「なあ、A？」

『ん～？』

夕陽に照らされる水面がキラキラと輝いて幻想的で、少しノスタルジックな気持ちになる。それは大ちゃんも同じなのかあたしを呼んだその表情はどこか切なく見えた。

「あのままもし別れてなかったからさ、」

『へ？なに急に、』

「やから、もしもやん。もしも別れてなかったら今でも俺ら続いてたと思う？」

『え、なにその質問』

「単純な疑問。俺らあのままやったらどうなってたんかなーって」

『んー、』

お互いが相手のことを思って別れた。あたしは大ちゃんの為に。大ちゃんはあたしの為に。それもひとつの愛の形やと思ってたし、今でもあの選択は間違ってなかったって思ってる。そうでなきゃきっと2人とも今の位置にはいてなかったやろうから。
それでも、もしあの時離れることを選んでなかったら？そのまま関係を続けていたら？

『いやでもやっぱりどっかで別れてた気がする』

「やんなあ。俺もそう思ってん」

『ほななんで聞いたんよ(笑)』

「Aの意見も聞きたかったから」

『やっぱりさあ、まだまだ子供やったから。あの当時のあたしらには遠距離恋愛は無理やったと思う。ほんで最悪の別れ方して友達ですら無かったんちゃうかな(笑)』

「友達ですらないのは嫌やなあ。Aとはずっとアホなことやってたいもん」

『せやねぇ。あの頃が無かったら、もしかしたら誠也くんと出会えてなかったかもやし。やっぱあのタイミングが正解やったんよ』

「Aさん？さらっと自分だけ幸せアピールするのやめてもろて？」

『え、してないよ』

「うわ～無自覚！」

『いやほんまに』

「あーあ、西畑も幸せになりたいなー」

『アイドルがそんなこと言ったらあかんやろ(笑)』

「あかんなあ(笑)アイドル失格やなあ(笑)」

夕陽が照らす中、繋いだ手をぶんぶん振りながら大爆笑するあたしたちは当初の目的通り、恋人らしくできてるのかどうかわからへん。けど楽しかったし、きっとこれが2人の正解かなとも思う。

『大ちゃん、これからも親友でいてね』

「こちらこそ」