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「誰が誰撫で回して甘やかすって？」
「あ、おかえりなさいお疲れ様でーす」
画角に入ってなくてもわかる特徴的な高い声。もちろん、その声の主は撮影を終えてきたらしい狂犬様で。その後ろから聞こえる声は恐らく大型犬。……じゃなかった、佐野くん。小島くんとリチャくんはまだ撮影中なんかな。
『あ、誠也くんやっほー。おつかれさまー』
「お前ほんま大晴甘やかすのいい加減にしろよ」
『んー、だってたいちぇくんかわいいねんもん。しょうがなくない？』
「なんもしょうがなないわ」
「あ！Aちゃんや！こんばんはー！」
『あ！佐野くーん！こんばんはー！こないだぶりー！』
おっきい体を折りたたみ、画面を覗き込んで手を振る佐野くんがめちゃくちゃかわいくて思わず頬が緩んでしまう。そんなあたしの顔をしっかりと画面越しに確認した誠也くんの眉間にはしっかりとシワが寄っていた。
「佐野！うっさい！」
『ちょっと誠也くーん。吠えたあかんよー？佐野くんご挨拶しただけやんかー』
「そうですよ、誠也くん。俺Aちゃんにご挨拶しただけっすよ」
『ねー？』
「ねー？」
『ご挨拶できる佐野くんめっちゃえらいやんか』
「佐野のこといくつや思てねん」
『んふふ(笑)佐野くんご飯いつ行く〜？』
「えー！いつ行きましょ？Aちゃん今度いつ大阪来れるんですか？」
『んー、わからんなあ。あたしもそろそろ次の撮影始まるしなあ』
「Aちゃん忙しすぎません？」
「晶哉だけずるい！俺もAちゃんとご飯行きたい！」
『んは、なら佐野くんとたいちぇくんと3人で行こね！お姉さんが2人の好きなもんなんでもご馳走してあげる！』
2人の為ならほんまになんでもご馳走してあげたくなるし、なんでも買ってあげたくなるあたしは案外、正門くんと大ちゃんのこと言われへんぐらいに年下好きなんかもしれん。一緒に居すぎて趣味が似てきたのか、はたまた類は友を呼ぶってやつなのかはわからへんけど。
「おい、おかしいやろ。なんで3人やねん」
『誠也くんも行く？そしたらお金払うん誠也くんやで？』
「お前絶対迎え行ったらへんからな！」
『え、ひど。いいもん。小島くんに迎えに来てもらうもん。助手席乗せてもらお』
「は！？なんで小島！？助手席なんか絶対あかん！」
「すんません、人のスマホで痴話喧嘩始めるのやめてもろていいですか？(笑)」
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
