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「ねぇ」
彼が前屈みになって声をひそめた。「辛いのがダメな男って、やっぱり子供っぽいと思われるかな」
思わず眉をひそめそうになる。
「……辛いのが苦手な大人だって、もちろんいるよ。でも、子供に多いのは確かじゃない？」
だよね……と力なく溜息をついた彼は、急に背筋を伸ばした。「決めた。今年は辛い物にも挑戦する」
それから、こちらの激辛カレーを意味深に一瞥した。
「……食べてみる？」
彼はスプーン１杯分の激辛カレーを一気に口に入れた。すました表情に変化はない。
「あ、いけた？」
聞いたそばから、白い耳が真っ赤になった。目にうっすら涙が浮かんでいる。
「だ、大丈夫！？」
彼はコップの氷を急いで咥内に含み、半開きの口で浅い呼吸を繰り返した。
子供っぽいって思われるの、嫌なのかな。なぜだろう。
今日みたいな私服姿の彼を見て、17歳の高校生だと見抜ける人間は数少ないと思うけれど。
子供っぽいと思われたくない相手がいるのだろうか。
カレーを食べ終わった後は、彼がテレビ塔に行ったことがないと言うから、展望台へ上った。
エレベーターの中は、観光客で混雑していた。
人波に押されて自然と近付いた距離が、苦しかった。
ほのかに漂う柔軟剤の香りが爽やかで、それなのに不思議と胸を詰まらせた。
展望台に着くなりどこかへ消えてしまった彼を探す気力もなく、ベンチに座って火照る体を静める。
眼下の公園を眺めた。そろそろ雪まつりの季節だった。
彼は誰と来るんだろう。一緒に来たい相手とかいるのかな。
溜息をつこうと息を吸ったところで、目の前に橙色のソフトクリームが差し出された。
「どうぞ」
夕張メロンソフトです、と彼が隣に腰掛ける。
「……ありがと。あ、お金払うね」
財布を取り出そうとした手を止められた。「いいよ」
「そんなわけにいかないって。さっきも払ってくれたのに」
こちらがお手洗いから戻って来た時、２人分のカレー代は支払われた後だった。
「誘ったのはこっちなのに、申し訳なさすぎる」
「いいって。ガリさんに昔から言われてんの、女の子と出掛けた時はこうするもんだって」
彼はソフトクリームにかぶりつき、「あまぁ、うんまぁ」と子供のように無邪気に歯を見せた。
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真澄(プロフ) - 浬さん» コメントありがとうございます。5年前のいがさくのお話ですね！ちびさくにお兄ちゃんぶるガリさん書いててすごく楽しいので、読んで頂けたら嬉しいです♪ (2021年2月26日 9時) (
レス) id: 0317dce8be (このIDを非表示/違反報告)
浬(プロフ) - 仲直りはチョコの味キュンキュンしました！今回は昔のいがさくのお話ですかね？わくわくします(^ ^) (2021年2月22日 13時) (レス) id: 2a1dda425f (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 爽さん» コメントありがとうございます。キャンパスライフ早く書きたいのですが、DKたちを卒業させるのももったいなくて悩ましいです(笑) (2021年2月13日 21時) (レス) id: d37291436f (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 浬さん» お久しぶりです！コメントありがとうございます。雪の降る日はけっこう直感で書いたのですが気に入って頂けて良かったです♪今回のも楽しんでもらえたら嬉しいです！ (2021年2月13日 21時) (レス) id: d37291436f (このIDを非表示/違反報告)
爽 - またまたお久しぶりです。仲直りはチョコいいですね！更新待ってますね。大光君とのキャンパスライフも楽しみです(^^) (2021年2月11日 11時) (レス) id: 5e1c872bd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年1月15日 16時
