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まっすぐこちらを見下ろすさくちゃんに、私は困惑しながら問い掛ける。「なんで怒るの？ そんなことで」
「怒ってない。でも、そんなこと、なんかじゃないもん」
さくちゃんの長いまつげが揺れていた。
「……俺はAちゃんの弟じゃないんだよ」
「知ってるよ」
さくちゃんは潤んだ瞳をして、私をじっと見つめた。
普段は温厚でのんびりした性格のさくちゃんが、こんなに強く何かを主張をしていることに驚いていた。意地を張っているようにさえ見える。何が彼をそんなに駆り立てたのか理解ができなくて、私は困り果ててしまった。
「Aちゃんのわからずやっ！」
さくちゃんは小さくそう叫ぶと、トートバッグに問題集や筆記用具を押し込む。そして、すたすたと廊下を歩いて足早に帰っていってしまった。
私は呆然とリビングに立ち尽くした。
間違ったことは言っていないつもりだった。だが、彼の何かを傷つけてしまったことを察した。
そういうわけで、付き合ってから初めて、私はさくちゃんとけんかをした。
「たっだいま〜！」
少しして、飛貴の元気な声が玄関から聞こえてきた。
「そこの道でさくちゃんとすれ違ったけど、怖い顔して駅の方に歩いてった。声掛けたの、気付かなかったのかな」
リビングに入ってきた彼は私と目を合わせ、「やっぱりね。どーせ姉ちゃんとけんかしたんだろうと思ったよ」と苦笑する。
「私、なんか余計なこと言ったっぽい……」力なく床にしゃがみ込んだ。
「なに言ったの？」
「勉強した方がいいとか、高校生らしくとか？」飛貴を見上げる。「……うざかったかな？ 考えてみれば私だって高校の頃、大人から勉強しろって言われるの嫌だったし」
飛貴は、ははーんという顔をして鼻で笑った。「違うな」
「違うの？ 何が？」
「さぁね」
飛貴はラケットケースを肩から下ろし、シャワー浴びよっと！と廊下に向かう。
「ちょっと、見捨てないでよ！ 私はどうすればいいの！？」
「どうもしなくていい。ほっときゃ収まるから」
廊下に出た飛貴は、ドアから顔だけをひょっこり覗かせてにやにや笑った。「なんとかは犬も食わないって言うじゃん？」
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真澄(プロフ) - 浬さん» コメントありがとうございます。5年前のいがさくのお話ですね！ちびさくにお兄ちゃんぶるガリさん書いててすごく楽しいので、読んで頂けたら嬉しいです♪ (2021年2月26日 9時) (
レス) id: 0317dce8be (このIDを非表示/違反報告)
浬(プロフ) - 仲直りはチョコの味キュンキュンしました！今回は昔のいがさくのお話ですかね？わくわくします(^ ^) (2021年2月22日 13時) (レス) id: 2a1dda425f (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 爽さん» コメントありがとうございます。キャンパスライフ早く書きたいのですが、DKたちを卒業させるのももったいなくて悩ましいです(笑) (2021年2月13日 21時) (レス) id: d37291436f (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 浬さん» お久しぶりです！コメントありがとうございます。雪の降る日はけっこう直感で書いたのですが気に入って頂けて良かったです♪今回のも楽しんでもらえたら嬉しいです！ (2021年2月13日 21時) (レス) id: d37291436f (このIDを非表示/違反報告)
爽 - またまたお久しぶりです。仲直りはチョコいいですね！更新待ってますね。大光君とのキャンパスライフも楽しみです(^^) (2021年2月11日 11時) (レス) id: 5e1c872bd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年1月15日 16時
