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「どうぞ」
人事部長に促され、私はドア付近に置かれたパイプ椅子に着席した。
「今日あなたに来て頂いたのは、お話を伺いたい件があったためです」
人事部長が重々しく口を開いた。
「週末に、外商部から連絡がありました。あなた……紳士服売場の浮所さんと、外商の作間様の高校生の息子さんが、不適切な関係にあるのではないか、と」
外商とは、多額の購買能力がある一部の顧客、すなわち資産家をターゲットにした、デパート独特の販売部門のことを指す。
店頭の売場ではなく、顧客の求めに応じ自宅を訪問して高額商品を販売するというもので、デパートの屋台骨を支える重要な部門だった。
さくちゃんの育ちがいいことも、都心の高層マンションに部屋を持つ彼のご両親がお金持ちなことも、分かりきっていたことではある。
しかし、まさか作間家がわが社の外商部のお客様であったとは、今回のことがあるまで想定が及ばなかった。
人事部長に目配せをされ、外商部の課長が話し始める。
「札幌にいらっしゃる奥様から、こちらのご自宅のカーペットを新調したいとのご注文がありまして、あの日は夕方から新人の永瀬を連れて採寸に伺いました。龍斗くんはよく気が付く子なので、いつも通り、私たちの分の飲み物を買いに行ってくださったんです」
巻き尺を手にする廉さんの姿を思い出した。
「その際、彼から、あの部屋にだけは入らないで欲しいと言われました。散らかっているから、と。……それが、まさか、君が寝ているからだったなんて」
課長は私を睨んだ。「作間様には、おばあさまの代からずっと、外商のお得意様としてお世話になっているんだ。君も百貨店店員なら分かるだろう、外商とお客様は公私共に家族同然の関係と言われている。私は奥様から頼まれていたんだよ。年頃の息子を親元から手放すのは心配だから、どうか羽目を外さないよう目を掛けてやって欲しいと」
震える手を隠そうとすることもなく、課長は青白い顔で言った。「それが、うちの社員とこんなことになっているなんて……。私は、奥様に向ける顔がない」
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真澄(プロフ) - みおさん» 大ファンだなんて嬉しいです！これからも頑張って書いていくのでよろしくお願いします！！ (2022年6月10日 16時) (
レス) id: 1390cae94a (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 真澄さん、もう大ファンです！odi et amoといい、もう！作風好きすぎます！涙 (2022年6月7日 18時) (レス) @page37 id: a084972b78 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - あーるさん。コメントありがとうございます。どうか優斗の活躍を見届けてあげてください！今後も感想などお待ちしております！ (2020年10月8日 20時) (レス) id: 4d011ee698 (このIDを非表示/違反報告)
あーる - 初コメです！優斗くん、、、なんでいい子なんだろう涙出そうになりました（ ; ; ） (2020年10月7日 23時) (レス) id: f659d4fa7b (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 乃愛さん。コメントありがとうございます。ここからゆうぴの見せ所になる予定なので、引き続き楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (2020年10月7日 21時) (レス) id: 4d011ee698 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2020年9月12日 11時
