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「……分からないの」
窓の外を行き交う通行人の姿を、ぼんやりと眺めた。
「あの、もちろん、原因は分かってるんだけど。どうすればいいのかが、分からなくて。……失いたくないものが２つあるんだけど、このままではどっちも失いそうっていうか、もう失ってるっていうか……」
「ふたつ？」
「そのうちの１つは、本当は失った方がいいものだと思う。……でも、失い方が分からなくて」
私はゆっくりと正面に視線を戻した。
ガリさんは納得した表情になり、カフェオレを1口飲んだ。
「Aは、その１つの……好きな男を失った方がいいと思ってんの？」
「……うん」
「なんで？ その男、既婚者？ それとも親の仇とか」
「そんなんじゃないけど……」
「そうじゃないのに、失うべき理由が分かりませんなあ」
ガリさんは両手を開いた。
彼の明晰な頭脳をもってしても、好きな男がまさか高校生だという仮定は導き出せなかったらしい。
「残酷なことだけど、Aが何をどう頑張っても、優斗を幸せにはできないよ。それはAが悪いわけでも、優斗が悪いわけでもない。仕方ないことだから」
オレンジ色をしたチョコクロワッサンの袋を折りたたみながら、ガリさんがぴしゃりと言った。
「不幸にする男は、優斗だけで十分だろ。それなら、せめてその男のこと、幸せにしてやれよ。同時に2人の男を不幸になんかしたら、さすがに罰当たるぜ？」
私の顔を覗き込んで笑顔を見せたガリさんにつられ、私も力なく少し笑った。
でもね、ガリさん。
私が好きなのは、17歳の高校生なんだよ。
それでもまだ、私に同じように言える？
私は心の中で問い掛けた。
今夜は実家に泊まるというガリさんと駅で別れ、電車に乗り込んだ。
混んでいるとも空いているともいえない微妙な乗客数の車内で座ることを諦め、ドア横のポールにもたれ掛かった。息を吐いて目を閉じる。
ハンドバッグからスマホの通知音が響いた。
重いまぶたをやおら開き、ラインを確認する。
『大人数で押し掛けてごめんね。今夜はお騒がせします！』という那須くんからのメッセージが届いていた。
飛貴の部屋で、赤い絵の具を手にピースをする龍我ちゃんの写真が添えられている。
文化祭はもうすぐだった。
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真澄(プロフ) - みおさん» 大ファンだなんて嬉しいです！これからも頑張って書いていくのでよろしくお願いします！！ (2022年6月10日 16時) (
レス) id: 1390cae94a (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 真澄さん、もう大ファンです！odi et amoといい、もう！作風好きすぎます！涙 (2022年6月7日 18時) (レス) @page37 id: a084972b78 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - あーるさん。コメントありがとうございます。どうか優斗の活躍を見届けてあげてください！今後も感想などお待ちしております！ (2020年10月8日 20時) (レス) id: 4d011ee698 (このIDを非表示/違反報告)
あーる - 初コメです！優斗くん、、、なんでいい子なんだろう涙出そうになりました（ ; ; ） (2020年10月7日 23時) (レス) id: f659d4fa7b (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 乃愛さん。コメントありがとうございます。ここからゆうぴの見せ所になる予定なので、引き続き楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (2020年10月7日 21時) (レス) id: 4d011ee698 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2020年9月12日 11時
