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「え？」
私は静止する。
彼が差し出したのは、粉を混ぜて練ると色が変わる、おなじみのお菓子だった。
「俺、昔からこのお菓子が好きで。今でもたまに買うくらいなんだけど」
さくちゃんは私を見て、にっこりと笑った。「だから、ずっとAちゃんと、ねるねしたいって思ってた」
私はぽかんと口を開き、彼を見た。
「……もしかして、嫌いだった？」
さくちゃんはお菓子を掲げた両手を少しずつ下げ、悲しそうに目線を斜め下へ落とす。
私は慌てて、首を横に振った。
「ううん。びっくりしたの」
私は微笑みを浮かべ、お菓子を覗き込んだ。「懐かしいな……何年ぶりだろ。私もこれ、好きだったよ」
さくちゃんはぱあっと笑顔になって、「どっちがいい？」と嬉しそうにもう一度お菓子を掲げた。
「うーんと……、ぶどう、かな」
かしこまりましたあ、とさくちゃんは封を開き、中からトレーを取り出す。
「まず、１番の粉を入れて……」
さくちゃんはトレーに粉を注ぎ込むと、レジ袋の中からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、水を混ぜ合わせた。
その一連の作業を繰り出す細長く骨ばった指から、つい目が離せなくなる。
初めてこの指を見たのは、さくちゃんの家で、彼の作ったパンケーキを一緒に食べた朝だった。あの時も、この指が放つ言い様のない色っぽさに目を奪われたのだった。
あれから５か月が経ち、今までに私は、この指に何度か触れられている。
それが良いことなのか悪いことなのか、私には分からなかった。
スプーンで粉を混ぜていたさくちゃんの手が突然止まったため、私の邪な視線が届いてしまったのかと、どきりとする。
しかし、彼は２番の粉の封を切っただけだった。
「わあ」
２番の粉が混ぜられると、私は思わず感嘆の声を上げる。「すごい……、こんなに色が変わるんだっけ」
私はさくちゃんの方に少し体を寄せ、トレーを覗き込んだ。
青色をしていた粉は混ぜるたびにどんどん膨らみ、鮮やかな薄紫へ変わっていった。
「はい、どうぞ」
さくちゃんはそれをスプーンにいっぱいすくって、私に差し出した。
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真澄(プロフ) - みおさん» 大ファンだなんて嬉しいです！これからも頑張って書いていくのでよろしくお願いします！！ (2022年6月10日 16時) (
レス) id: 1390cae94a (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 真澄さん、もう大ファンです！odi et amoといい、もう！作風好きすぎます！涙 (2022年6月7日 18時) (レス) @page37 id: a084972b78 (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - あーるさん。コメントありがとうございます。どうか優斗の活躍を見届けてあげてください！今後も感想などお待ちしております！ (2020年10月8日 20時) (レス) id: 4d011ee698 (このIDを非表示/違反報告)
あーる - 初コメです！優斗くん、、、なんでいい子なんだろう涙出そうになりました（ ; ; ） (2020年10月7日 23時) (レス) id: f659d4fa7b (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 乃愛さん。コメントありがとうございます。ここからゆうぴの見せ所になる予定なので、引き続き楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (2020年10月7日 21時) (レス) id: 4d011ee698 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2020年9月12日 11時
