07.またね ページ7
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『えっと、あの』
｢ごめん、俺が勝手に連れてきちゃった｣
｢え？あ、そうなの？｣
私から目が逸れて、平野くんがうん、と答えたから私も大きく首を縦に振れば、先生は小さくため息をついた。
｢もう、次からはしっかりしてよ？｣
｢はーい、ごめんな更級さん｣
謝られたことにびっくりして平野くんを見れば、目が合った。その後、軽くウインクも。
あまりに自然すぎてこの人何者？
いや全然それは、どうでもよくて。
今は
｢まぁいいや、更級さん何組？
それと、今なんの授業中か分かる？｣
『へっ？あ、4組で今は多分、数学…です』
｢4組？じゃあた、っふかざわ先生のとこ？｣
た、ってなんだろう。
『そうです、数学は阿部先生で』
｢え！更級さん数学阿部ちゃんなん？いいな〜｣
『平野くん、数学阿部先生じゃないの？』
｢うん、俺はナベちゃん！けど1年の時は阿部ちゃんやったからな〜。阿部ちゃんほんまに優しいし居残り勉強もしてくれるし最高じゃん。はー俺も阿部ちゃんがよかったな｣
『…居残りとかするんだ』
｢ん？｣
『ん？なんでもない、』
｢そっか、阿部ちゃんか〜。で？平野くんは？｣
｢うぇっ、俺？俺多分さっくんの地理〜｣
｢はいはいさっくんね〜
って、佐久間先生のことさっくん呼びしてるの？｣
｢え？おん、さっくんも俺のこと紫耀って呼ぶし｣
｢へー、佐久間先生が下の名前で呼ぶなんて意外。
よし、じゃあ2人とも私から言っとくから
もう授業終わりかけだしそろそろ行きなさい｣
阿部ちゃんにナベちゃんに、さっくん。
呼び方だけで分かる愛され具合。陽キャこわ。
2人でありがとうございました〜って言って出た。
教室にいる1時間より明らかサボってる今の方が
1時間が短く感じるのはなんでだろう。
ふぅ、息苦しかった。
｢なぁ｣
『ん？』
｢更級さんってさ｣
『？うん』
刹那、チャイムが鳴って。
ん？と聞き直せば、途端に平野くんは頭を掻き出す。
何を言おうとしたのかなんて考える余裕はすぐになくなった。
次の授業は、あ、ふっかの英語だ。
教科委員だし、呼びに行かなきゃいけない。
だって私が呼びに行かないともう1人の教科委員の慎ちゃんが｢あれ？！Aが居ない！｣とか言って困っちゃうから。
『ごめん、私次ふっかだから行くね！
今日は助けてくれて、手当してくれてありがとう』
｢おう！またね｣
"またね"の意味を理解するのは、もう少し先。
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mun(プロフ) - このお話大好きです！これからも楽しみにしてます！ (2020年10月26日 17時) (
レス) id: 0e3b0babab (このIDを非表示/違反報告)
夏(なの)(プロフ) - コメントありがとうございます！パスワードは作品を見て頂ければ分かると思います。 (2019年1月3日 13時) (レス) id: d826207ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みさと(プロフ) - パスワード知りたいです！ (2019年1月3日 12時) (レス) id: f4a3a3a2e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏 | 作成日時：2017年9月10日 9時
