06.ハルカ ページ6
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見なくても誰だか分かるその声が
懐かしくて疎ましくて、小さく舌打ち。
眉根を寄せれば、
平野くんが私を不思議そうに見てから口を開く。
逃げるなら、今しかなかったのに。
タイミングを、完全に失った。
｢まーたタバコ吸ってたの？ハルカちゃん｣
｢子供にタバコなんて答えません！それにハルカちゃんじゃなくて、¨大野先生¨でしょ｣
あぁ、鬱陶しい。
大野遥香。私が中等部の2年の時に赴任してきた先生だ。
マンガみたいに若くて綺麗な先生に
男子がこぞってメロメロになったのはまだ記憶に新しい。
歩く度にふわりと揺れる柔らかそうな短い髪
ピンク色のロングスカート、甘ったるい匂いと声
私とは正反対な、私のライバル。
｢どうして平野くんいるの？またサボり〜？｣
｢サボりじゃないわ！今回は。｣
｢今回は、ってやっぱりいつもはサボりに来てたのね｣
｢えっと、あのーそれはー｣
遥香ちゃん、と呼ぶ声が脳裏に木霊した。
私のよく知る人と、同じ呼び方。
何よりも、平野くんがこの人と仲良いことに驚いた。
たまに授業に出席してない話は聞いたことあるけど、平野くんが保健室に入り浸ってるって噂は聞いたことがない。
ついでに言えば、入り浸っているはずのあいつの噂も。
皆、知らないんだ。
会話に入らなかったのと平野くんが身振り手振り大きいお陰でずっと大きな背中に隠れたまんま。
…気まずすぎる。逃げちゃおっかな。
｢ねぇ、さっきから何隠してるの？｣
｢…え？！あ、ちょ遥香ちゃん！｣
｢まっさか、女の子じゃないよね？女の子連れてここで何しようと…ってあれ？更級さん？久しぶりじゃない、元気？どこか怪我したの〜？｣
平野くんの腕をかき分けてきた彼女が、見せてみせて、と近寄ってきてしまったから思わず腕を隠す。
…そうだった。この人こういう人だった。
『元気です！ちょっと擦っただけみたいで、もう絆創膏貼ってもらったので、大丈夫です』
｢ほんと？平野くんも伊達にサボりに来てるだけのことはあったのね、いつも私の邪魔しかしないけど｣
｢えー、俺邪魔なんてしましたっけ？｣
｢そうよ、いつも私が資料作るって言ってる時だって毎回平野くんがパソコン覗いてくるから全然集中出来な、あ！そういえば、更級さん授業担当の先生には言ってきた？｣
ゔっ、痛い所を突かれた。勿論、言ってる訳がない。
だって、半ば無理やりここに連れこられてきたし。
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mun(プロフ) - このお話大好きです！これからも楽しみにしてます！ (2020年10月26日 17時) (
レス) id: 0e3b0babab (このIDを非表示/違反報告)
夏(なの)(プロフ) - コメントありがとうございます！パスワードは作品を見て頂ければ分かると思います。 (2019年1月3日 13時) (レス) id: d826207ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みさと(プロフ) - パスワード知りたいです！ (2019年1月3日 12時) (レス) id: f4a3a3a2e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏 | 作成日時：2017年9月10日 9時
