17.声 ページ17
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他愛もない話ってどうやってするんだっけ？
あんな酷かった雨も一時的だったらしく今は小雨だ。
ドクドクとさっきからうるさい心臓の音が相手に
聞こえそうなくらいシーンとしている雨の中にふたり。
優太とジンくん、慎ちゃん以外の男子と話すことなんて
あんまりないし、なんか。
…緊張する。
まぁ平野くんはこーゆーの慣れてるんだろうし私だけか
って、なんでそんなこと気にしてるんだろう。
思い当たる理由はひとつだけある。
顔がいいから！平野くんの顔がいいから！
とてつもなく顔がいいんだもん恥ずかしいよ！
仕方ないね！イケメンには抗えない！！
適当な理由で頭を納得させて、ヨシ！と気合。
さっきからダンマリなこの状況を突破することは
出来ないかとチラッと横を見れば、いきなり。
｢ごめん｣
『え？』
｢こないだ、いきなり腕掴んだりして｣
『え？あ、全然、』
ごめんだったのは私の方ですってなんか言い辛いな。
そもそも誤解なのかな。本当だったら気まずいし。
気まずいっていうか
別に本人達の自由だからいいと思うけどね私は。
私と私の友達が泣かされたなら話は別だけど。
キュッと口を結んで下を向いたままの平野くんに
私も恥ずかしくなって下を向く。
同じ学年、同じ委員会、隣のクラス。もうすぐ文化祭。
共通点と話題はあるのに話しかけられなくて
平野くんが持つ傘の柄だけが真ん中で揺れてる。
…気まずいのなんので頭が痛くなってきた。
｢…あ。｣
平野くんが呟いて、いきなり足を止めた。
文化祭何やるの？って話しかけようとした瞬間。
ん？って顔を上げれば
｢ヤバ、」
『え？』
｢こっち来て、隠れて｣
『へ？きゃっ、！』
勢いよく手が掴まれて、ギュッて引き寄せられる。
驚いて声を出せばシー！って唇を指で閉ざされる。
隠れる？なんで？
急に近付いた距離に驚いて思考が止まる。
鼻で息をすれば平野くんのシャツから香水の匂いがした。
苦しいくらいに回された腕が思考をストップさせる。
普段苦手な甘ったるい匂いも今は全部どうでもよくて
木に下手に隠れた大きな背中の、その先が見たい。
下を向いて歩いていたから分からなかったけど
もうすぐバス停だったはず。
さっき信号止まった時その辺にバス停あるの見たもん。
『隠れるってなにか…ら、』
｢ごめんね、ゆうたくん｣
雨音に紛れて聞こえたその声が
雨が止んだみたいに音を、時を、全部を止めた。
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mun(プロフ) - このお話大好きです！これからも楽しみにしてます！ (2020年10月26日 17時) (
レス) id: 0e3b0babab (このIDを非表示/違反報告)
夏(なの)(プロフ) - コメントありがとうございます！パスワードは作品を見て頂ければ分かると思います。 (2019年1月3日 13時) (レス) id: d826207ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みさと(プロフ) - パスワード知りたいです！ (2019年1月3日 12時) (レス) id: f4a3a3a2e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏 | 作成日時：2017年9月10日 9時
