02.トキメキ(仮) ページ2
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手をついた場所がなぜか暖かくて。
聞こえた女の子の悲鳴に恐る恐る後ろを振り返ってみれば
丁度目が合ってしまって、即座に固まる。
いやなんでって、だって、この人
『いや、えっ、ひっ!ごめんなさい!!』
慌てて飛び退いたけど、もう遅い。
私を抱きとめた形で私の代わりにダメージを負ったのは
校内でも結構有名な平野紫耀くんだった。
ぐにゃ、の正体。
手をついたのはどうやら平野くんの太腿だったらしい。
一目で分かる、綺麗な顔立ちとキラキラとしたオーラ。天然な性格と抜群の運動神経。気さくでいつも笑ってて周りに人が沢山いる。
隣のクラスだけど、話したことは数回だけある。
まぁ、委員会の報告だけど。
モテすぎてファン倶楽部まであるんだって
奈子ちゃんが言ってた。
私が平野くんについて知ってるのは、これくらい。
「いたたたたっいったー!!更級さん怪我、ない?」
『私はない、けど、平野くんが』
「俺?俺はだいじょーぶ」
な?とあやす様に自然に頭を撫でられて、時が止まりそうになって固まれば、また、大丈夫と繰り返される。
きっと打っただろう背中を触って確認する姿をそのままボーッと眺めていると平野くんがおもむろに立ち上がった。
私は、拍子抜けして腰が抜けたままだけど。
「女の子が女の子に暴力なんて、したらあかんで」
「女の子は笑ってたら可愛いんやから」
驚いて声も出ないだろう彼女達に、ね?とパンパンと手を叩く平野くんの一瞬見えた横顔が思ったよりも真剣で、心臓が大きく音を立てる。
別に言われているのが私のためだからじゃない。
語る彼の価値観が、言葉が、素敵だと思ったから。
「ご、ごめんなさい…」
「俺にじゃないでしょ?」
フハッと笑う平野くんはなんだか怒っているみたいだ。
だって、今目笑ってなかったもん。
「早く謝って」
やっぱり、平野くんは怒っている気がする。
「ごめんなさい」
『いや、私が悪かったので』
元はと言えば、私が彼女と正反対の優太のタイプを言ってしまったから悪いんだ、だってそれで逆上したんだし。
…無意識だけど。
「じゃ、早くクラス戻んなよ。もうすぐ授業だし」
「はい、」
シュンとして帰る彼女達に少しだけ同情してしまったのは、私も悪いと思ったからで
決して平野くんにときめいたからではない。
きっと、絶対に!断じて!ときめいてません。
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mun(プロフ) - このお話大好きです!これからも楽しみにしてます! (2020年10月26日 17時) (レス) id: 0e3b0babab (このIDを非表示/違反報告)
夏(なの)(プロフ) - コメントありがとうございます!パスワードは作品を見て頂ければ分かると思います。 (2019年1月3日 13時) (レス) id: d826207ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みさと(プロフ) - パスワード知りたいです! (2019年1月3日 12時) (レス) id: f4a3a3a2e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏 | 作成日時:2017年9月10日 9時