candy box2(連載) (ページ9)

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ううむ。
僕は目の前の仕事をこなしつつ、あれこれと頭を悩ませていた。悩みの種は他ならぬ、昨日のAちゃん発言についてで。詳しい発表を生放送ですると決まってからも、僕はこの件が気になって仕方なかった。

Aちゃんは、僕がメンバーとして在籍しているTeam 2broの兄者弟者の義妹だ。可憐で穏やかで、心優しい美人のAちゃんを、例の2人は目に入れるどころか、捩じ込む勢いの猫可愛いがりで。僕自身、友人の垣根を越えて兄の様に慕ってくれるAちゃんが、可愛くて可愛くて仕方なかった。

そんな彼女が動画に直接関わらなくても、それを兄弟とAちゃんが話し合って決定したのであれば、僕が口出しする事では無くて。その事について、僕はそれとなく一線を引いていた。別に拗ねてるとか仲間外れとか、下らない嫉妬からじゃない。
単純に僕は家族とは違うからっていう、友人としての線引きだ。その性で歯痒い思いをしているのは、確かだったけど。

でもAちゃんは、そんな僕だから側に居てくれて良かったと言ってくれた。立場が違うからこそ、おついちさんの言葉が嬉しいんですよって微笑みながら。

"2broのおついち"にしても、"友人のおついち"にしても、兄者や弟者に比べれば、出来る事なんて限られている。だから、そうAちゃんが言ってくれたのは、本当に心から嬉しかった。

正直、この件がどちらに転ぶか不安だし、先行き見えない未来に少なからず恐怖を覚える。兄者や弟者だって口には出さずとも、それなりに同じ気持ちを抱えているだろう。
だけど僕ら以上に、Aちゃんが思い悩んでいるのは明白で。それならば、ぐちぐち考え込んでいてもしょうがない。兄弟の為に、そして何より大切な妹のAちゃんの為に、年長者の僕がしっかりしないと。

全ての事からAちゃんを守るなんて、カッコいい台詞は言えないけど、少しでも安心して貰えるよう僕も頑張らなきゃ。その為なら、どんなに辛くても苦しくても、君が好きだと言ってくれる笑顔で、立ち向かって行くよ。

『Aちゃんの願い事が叶いますように』
いつの日か、星に願ったこの想い。

その時の願いから、僕の一番欲しい物は何も変わっていないよ。さぁ、そろそろ叶えておくれ。僕らと一緒に居たいと望んだAちゃんの為に。

明日も明後日も、明々後日も。
君が僕たちの側で、ずっと笑っていられる様に。