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そうこうしている内に、光の家はもう目と鼻の先にあった。
光「今日は満月なんだね。」
帰る前は2人とも少し沈んだ気持ちになる。
「そうやな。」
「……月が綺麗ですね。」
さっき文豪の話をしてて思い出した。
あの有名な夏目漱石の"I Love You"の訳し方を。
なんか、カッコつけてるようで恥ずいけどこれは満月のせいにしておこう。
光「うん。廉と見るから綺麗なんだよ。」
……ん？何か、思ってたのと違うぞ？
顔真っ赤にしてくれるかなとか想像しとったのに。
光「送ってくれてありがとう。じゃ、またね！おやすみ。」
言葉の真意を測りかねてる間に光はバタバタと家に入ってしまった。
あ……おやすみって言えんかった。
仕方なくメッセージで送って家までの道を歩く。
光が夏目漱石知らないなんてことある訳ないし。
あの言葉も知ってるやろうし。
なんなら、二葉亭四迷が訳した「死んでもいいわ」とかが返ってくると思っとった。
あぁ分からない。
それか、俺がそんな意図を込めたってことに気づいてないとか？
だとしたら辛すぎるやろ。
光の言葉が分からなくて手で髪をかきあげながら頭をフル回転させる。
あ、もしかして、、
さっきメッセージを送ったスマホをもう一度取り出して、夏目漱石のあの言葉について検索する。
「まじか……」
耐えられなくてその場でしゃがみこんで手で顔を覆う。
「あなたと見るから綺麗なのです」
＝「私もあなたのことが好きです」
「はぁ。さすがやな…」
やっぱり光の方が1枚上手やった。
しかも、
「可愛すぎるやろ。」
今日1日で何回惚れ直したんやろ…
俺、これから心臓持つんだろうか。
満月が輝く夜空の下で、1人頭を抱えて悶絶していた。
END
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作者名：コットンP | 作成日時：2021年12月9日 18時
