レインボーキャンディガール【名前変換】 (ページ9)

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◇Story.9 ページ9

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期待したっていつものごとく打ち砕かれる。

そうは分かっていても、

やっぱり、期待しちゃうのが好きになった人の

当たり前の心理で。

部活でへとへとで今すぐにでもお布団で

寝たいところを我慢して

手洗いうがいなど最低限のことを済ませて

私はまずクローゼットを開けた。

・

あ「確か、ここにハンガーで……

あ、あった。」

・

水色のギンガムチェック柄のワンピは

宏太から去年の誕生日に

プレゼントしてもらったモノだった。

・

だから、宏太に真っ先にその姿を見てほしかったから

まだ一度も袖を通したことは無くて。

・

前に友達とショッピングに出かけて

買ったままそのままカラーボックスの一段目の

ポーチに眠ったままのメイク道具を鏡の前に並べた。

・

そうすると、コンコンとノックする音が

部屋に響きわたり

畳んだ洗濯物をもってきたママが入ってきて

“もう子どもじゃないんだから迷惑かけちゃだめよ”

・

って、数日前に言った台詞をもう一度。

・

あ「もうそのセリフ聞き飽きたよ。」

「だって、Aは何度も言わなくちゃ忘れるでしょ。」

・

それって遠まわしに“単細胞”って言ってるよね。

ふと、大貴の顔が浮かんだけど

単細胞じゃない！と心の中で反論して

私は浮かんだ台詞と顔をかき消して、

明日に備えて、いつもよりも早くお風呂に入って

今日の疲れを取り除いた。

・

ちゃぽん、という水の音が何となく好きで

わざと音を立てるように手でお湯を弾いて、

ふわっと体がせっけんのいい香りに包まれると

あぁ、一日が終わったんだ。

と、実感して

宏太との明日がすぐそこまで来てるんだなぁって。

・

ほら、やっぱり馬鹿みたいに期待しちゃうんだ。

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