みんなには内緒だよ ページ43
「もらったもの、返すために」
それが落とし前ってものだし、何よりそういうもの。
武道が息を呑む。
「そう思ってた」
「え?」
「やっぱりやめたー。あの人はそういうの『要らねぇ』ってきっぱり断言しそうだし、何より………泣いてる?」
「っ…雪だよ!」
武道の目からは雪と言うには大袈裟な、大きな粒が幾つも落ちていた。
「無理のある言い訳ー」
「…別に、いいだろ報われたんだから」
「やっぱ行こうかな」
「冗談でもやめろよ!!」
談笑を交えながら久しぶりに一緒に帰り道を歩いた。
途中、道路にうっすら積もっていた雪を投げ合ったせいか擦り剥けた手の甲も手のひらも、じんじんと赤くひりついた。
「ふぅ…」
すぐに白くなってしまうけど、幾分かはマシだと思って息で手を温める。
「もしもし?」
懐から携帯を取り出して電話をかける。
「頼み事。波っぽいのみ
詳しいことは家に着いたらまた電話するね。今、出先だから」
無愛想な返事が向こうからしてライターの着火音が後に続く。
多少の小言は覚悟していたけどその必要はないみたいだった。
肩の力を抜くと、自然と視界に白い靄が漂った。
「落とし前…か」
目を閉じれば嫌でも浮かぶ鮮烈な赤色。
「守りたいんだ…」
この手でどうにかしたい。
例え、汚れていても。
この先に代わりはないから。
今だけ、今だけ夢を見させていてほしい。
あんまり温まらなかった手をポケットに突っ込んだ。
すっかり冷めきったコーンポタージュの缶だけが、手のひらに残っていた。
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ジヘイ(プロフ) - 怜さん» ありがとうございます……!!更新頑張らせて頂きます!!! (2021年10月15日 20時) (レス) id: 2c04bafbb6 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 好きです(((更新お待ちしています!! (2021年10月14日 21時) (レス) @page41 id: 7d04816b57 (このIDを非表示/違反報告)
ジヘイ(プロフ) - ごりらさん» ヴッッッありがとうございます……!!応援に報いることができるように頑張ります!!! (2021年9月20日 15時) (レス) id: 2c04bafbb6 (このIDを非表示/違反報告)
ごりら(プロフ) - え??めっちゃ好きです…タイプ…。応援してます!! (2021年9月19日 18時) (レス) id: 0c5c330aa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジヘイ | 作成日時:2021年9月10日 10時