心苦しい ページ38
「40度超えてたんですか……普通に"死にそうだったんですね…」
「あのままだったら確実にそうでしたね。
今は38度中間で落ち着いていますし、明日の状態を見て退院の日程を決めていきましょう」
優しく微笑む医師さんに会釈をして、看護婦さんにお礼を言う。
「……はい。くたばんなくてよかったです。まだまだやることあるので」
「…何かあれば、相談して下さい。深夜でもいつでも受け付けていますから」
「お母様にお会いになられますか? 今、落ち着いているところで…」
そういえば、最近会ってなかったんだった。
最後に会ったのはもう半年前になる。
「はい、そうさせて頂きます。
みんなもよかったら会っていってよ。きっと喜ぶよ」
「で、俺は付き添いか」
病室の入り口までは医師さんとかと一緒だったけど、保護者と鉢合わせたのでそのまま確保して母親の所まで付き添ってもらうことにした。
みんなは気をつかって歩みの遅い私の後ろにいてくれている。
「うん、もちろん。
ところで、助けてもらったんだから無償で頼むね」
「あー…そうだな、癪だがそうだな。」
道なりに歩いて、一つの扉の前で止まる。
病室番号の下には『渡多 環様』とネームが貼り付けられていた。
「…………。」
みんなの息を呑む音が聞こえるくらいには静かだった。
広めの部屋にベッドが一つ。
カーテンはしまっていない。
聞こえるのは心拍とか血圧とかを計る、ドラマとかでよくあるあの機械の無機質な音。
「あれが母さん。6年前からずっとあのまま。」
ここまで生きているのは中々ないって医師さんが言っていた。
「目を覚まさなくても、手を握り返してくれなくても、髪は伸びるし爪は伸びる。生々しいよね」
なんともいえない表情の三人にそう言ってみる。
なんで聞いたんだ って思っただろうな、ごめんそこにいたから。
「…じゃ、顔見たし戻ろっか。」
「前、母さんは忙しいって言ってたよな」
「入院してないとは言ってないけどね。」
死んでるけど生きているし。
佐野くんが言いたいことは分からなくもない。
「お前、辛くないのか」
灰谷さんの方のリンドウさんがそう聞いてくる。
「今はあんまり。6年もこのままだと期待はできないし、そういうのは4年前に切り捨てたんだ」
「強いねぇAチャンは」
「…そう見えてるならよかった」
結局は、自分のためだったから、全部。
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ジヘイ(プロフ) - 怜さん» ありがとうございます……!!更新頑張らせて頂きます!!! (2021年10月15日 20時) (レス) id: 2c04bafbb6 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 好きです(((更新お待ちしています!! (2021年10月14日 21時) (レス) @page41 id: 7d04816b57 (このIDを非表示/違反報告)
ジヘイ(プロフ) - ごりらさん» ヴッッッありがとうございます……!!応援に報いることができるように頑張ります!!! (2021年9月20日 15時) (レス) id: 2c04bafbb6 (このIDを非表示/違反報告)
ごりら(プロフ) - え??めっちゃ好きです…タイプ…。応援してます!! (2021年9月19日 18時) (レス) id: 0c5c330aa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジヘイ | 作成日時:2021年9月10日 10時