不良とか関係ないからさ【東卍】

葛藤しますね ページ35

「そろそろ解散すっかー」







「あ、佐野くん」




「……………。」



声をかけてみたけど、やっぱり返答はなかった。




「明日 時間ある？ 佐野くんが良ければなんだけど明日遊びに行かないかな」



「………」





うーん駄目かな、これ。



「…行く」




ポツリと溢された言葉を私は聞き逃さなかった。





「どこか行きたいところある？」



「Aの家でAの苦手なジャンルの映画見る」






「やっぱり根に持ってるのね色々」




　






「ん。」



「なにこれ」

「焼き芋」







渡し方もそっくりだなー。




「…明日の朝ご飯にでもするね」







三ツ谷くんに頼まれたのは佐野くんのご機嫌直し。


こうやってみると三ツ谷くんは苦労人なんだな、って思う。






「雨…」




バケツを引っくり返したみたいな大粒の雨が降ってくる。





多分、びしょ濡れコースだと思う。


いやもうびしょ濡れ。






結局的に諦めて降りしきる雨の中ゆっくり帰ってきた。







「そういえばDVDとかあったっけ……」





タオルで濡れた髪の毛をどうにかしながらテレビ下の棚を探す。




「…………。」




そういえば床下収納にしまってた気がする。どこのかは忘れたけど。




三択だけどキッチンは明らかに違うから実質 二択。

とりあえず近いところから。






「どれがいいんだろう」




へッふん！ とかいう主張の激しすぎるくしゃみが出る。


イスとかが入ってる方の床下収納に非常食とか防災のものとかDVDが入っていた。



なんでこの組み合わせにしたんだろう。






魔法使いの大人気シリーズとかはありきたりすぎるから、ここは本人の意思通りに
私の苦手なジャンルにして差し上げよう。


やっぱりやめとこう、いや意思尊重……






暫し自分との戦いをして勝利したのは本人の意思尊重。

覚悟を決めさせてもらった。それほどでもないけど。








イスを全て元の通りにしまい終わってふと思い立つ。







「スイートポテトが、食べたい……甘さ控えめの。」





佐野くんがくれた焼きいももあることだし、これは作れる。







「……ふう。」





でも明日、佐野くんが来るんだったら明日出してあげよう。そう思った。





卵黄を塗ってオーブンに突っ込む。






そういえば雨に降られてべしゃべしゃだった。



どうせ焼いてるだけだし、お風呂に入ろう。

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