第40番 ページ40
それから数日間、なんとなーくお兄ちゃんの元気が無かった。話しかけても、ボーッとしていることが度々あって。
罪悪感があるんだって。何だか、私まで申し訳なくなった。
「ねーお兄ちゃん」
「ん？」
クーラーが稼働する、暗い部屋。ブランケットをお腹までかけて、寝返りを打った。ベッドが軋む。
「お兄ちゃんが元気ないと、私もヘコんで来ちゃうなぁー」
「……元気だよ？めちゃめちゃ」
「ふーん」
嘘つき。お兄ちゃんは、私の方をチラッと見るとくすぐったそうに笑う。その笑顔が、好きなのに。最近ちっとも見てないよ。私なんかに、そんな落ち込まないでよ。お兄ちゃんがそばにいてくれれば、それで良いから。
いじらしい。焦れったい。
「決めた！久しぶりに二人で寝ようよ！ね！
はい、おじゃましまーす！」
「え、ちょ、何いきなり！暑い！暑いよAちゃん！」
私はベッドから飛び降りると、お兄ちゃんの布団へ潜り込む。もちろん一人分のスペースしかない布団は、二人入るとぎゅうぎゅうで。くっつく肌と肌。感じる温もりと、制汗剤の匂い。
……自分から、行動起こしたのに。今になって恥ずかしくなってきた。暗くて良かった。耳まで赤くなってるの、バレるとこだった。
こうして同じ布団で寝るなんて、何年ぶりだろう。
「何か懐かしいな。Aちっこかったのに、いつの間にかデカくなってるし」
「こっちのセリフ」
肩を震わせ笑っていると、お兄ちゃんと不意に視線がぶつかった。時間が止まったかのように、何も言えなくなる。真っ直ぐでキラキラさした瞳に、何も言えなくなる。
そんな目で、見ないで。
「……絶対に、解決するから。まだ俺学生だから時間かかるけど、出来る限り──」
止まる言葉。二人の呼吸が、一つになる。
「Aのこと、守るから」
耳を澄まさなきゃ、聞こえないくらいの声だった。けれど。ブランケットの中、そっと握ったお兄ちゃんの親指。離れないように。離さないように。
「……ありがとう」
今までお兄ちゃんがくれた言葉の中で。一番嬉しかったよ。
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佐藤るか - ボロッボロに泣きながら読ませていただきました、← これからも楽しみながら読ませていただきます！！ (2019年3月9日 19時) (
レス) id: 7822559aab (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - 更新ありがとうございますm(_ _)m廉くんが元の廉くんの戻ってくれたらと願ってしまいます。主人公ちゃんも幸せになりますように。 (2019年2月19日 21時) (レス) id: 26de836531 (このIDを非表示/違反報告)
にかちぃ - 更新楽しみにしています。頑張って下さい (2019年2月19日 21時) (レス) id: bb044d85aa (このIDを非表示/違反報告)
れお。 - 廉くんと仲直りして欲しい…涙 廉くんSide読みたいです！！ (2019年2月18日 18時) (レス) id: 80a6625e36 (このIDを非表示/違反報告)
のんこ(プロフ) - 主人公ちゃんと廉くんお互い言葉足らずでモヤモヤしてしまう。廉くんSideの気持ちも知りたくなってしまいます。続きが気になりすぎます！ (2019年2月13日 11時) (レス) id: 0d216a52c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れなさん
| 作成日時：2018年12月16日 18時
