第3番 ページ3
確かに親しい。廉とは、友達以上の中だって思ってる。でも、いくら廉でも。お父さんのことは言えないし、「もう一つの秘密」のことも言えない。
「腹減ったなぁ〜寒いし」
「いつも待たせてごめんね、帰ってて全然帰って良かったのに」
「へ？いや、そんなつもりで言ったんじゃないし！ほら、あれや！俺も練習したいし！」
廉はどこか慌てたように言う。週に二日活動している華道部。特別な用事がない限り、いつも待っていてくれる。
「……あ。私スーパー寄らなきゃ」
そうだった、今日お父さん夜勤だからいないんだ。お兄ちゃんも食べに行くって言ってたし。私一人なんだった。
……今日は。今日は、怯えなくて済むんだ。
作り置きをすっかり忘れていたため、空っぽの冷蔵庫。適当に冷凍食品で済まそうって考えてた。
「スーパー？」
「うん、今日一人だから」
「じゃあ夕飯無いん？俺ん家来ればええやん。母さんも喜ぶと思うし」
「え、いやいや！いくら何でもこんな時間にいきなり」
遠慮する私をよそに、廉はすぐにスマホを取り出しお母さんに電話してしまった。なんて強引なんだ！あぁ、昔から半ば強引なんだった。
たった数秒の会話を終えると、廉は「大歓迎やって！」と嬉しそうに笑ったのだった。
ー「ただいまぁ〜」
「Aちゃん、久しぶり〜！また可愛くなって！相変わらず細いねぇ〜」
「お久しぶりです！えへへ、ありがとうございます」
「俺のこと無視やん！」
細いんじゃなくて、食べれないだけ、で。
廉のお母さんは、私を暖かく迎えてくれるとグレーのコートをハンガーにかけてくれた。小さい頃からここでお世話になっているせいか、家とは違う安心感がある。落ち着くなぁ。
「もう少しで出来るから、待っててね」
キッチンから漂う、シチューの美味しそうな匂い。二階へ上がり、廉の部屋へ入った。
「やっぱり何度も見てもすごいね」
「やろ？何か捨てられないねん、本棚ぎゅうぎゅうなのに」
ブルーのシーツがかけられたベッド。意外にもきちんと整理された机。ピカピカのグランドピアノ。それから。
本棚いっぱいに敷き詰められた楽譜たち。小学生のときもらった初歩的なものから、現在進行形で習っている楽譜まで、全てが並べられている。
廉曰く、「思い出だから全部残しておきたい」そうで。
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佐藤るか - ボロッボロに泣きながら読ませていただきました、← これからも楽しみながら読ませていただきます！！ (2019年3月9日 19時) (
レス) id: 7822559aab (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - 更新ありがとうございますm(_ _)m廉くんが元の廉くんの戻ってくれたらと願ってしまいます。主人公ちゃんも幸せになりますように。 (2019年2月19日 21時) (レス) id: 26de836531 (このIDを非表示/違反報告)
にかちぃ - 更新楽しみにしています。頑張って下さい (2019年2月19日 21時) (レス) id: bb044d85aa (このIDを非表示/違反報告)
れお。 - 廉くんと仲直りして欲しい…涙 廉くんSide読みたいです！！ (2019年2月18日 18時) (レス) id: 80a6625e36 (このIDを非表示/違反報告)
のんこ(プロフ) - 主人公ちゃんと廉くんお互い言葉足らずでモヤモヤしてしまう。廉くんSideの気持ちも知りたくなってしまいます。続きが気になりすぎます！ (2019年2月13日 11時) (レス) id: 0d216a52c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れなさん
| 作成日時：2018年12月16日 18時
