【文スト】気儘に【短編集】

【ドストエフスキー・寒い】※いちのせ様リク ページ15

とある、冬の一日。

｢ドストさん！寒いです！｣
｢うるさいです｣

今日はなんと今年一番の寒さらしく、ぱきっとした寒さが全身を刺す。前を歩くドストさんは、もこもこ帽子にコートとブーツ。

｢うぅ〜〜がくぶるがくぶる｣
｢そんなに寒いんですか？｣

そんな軽装なドストさんとは比べ物にならないほど、私は重装備だった。

もこもこのコートに、ズボンの下には裏起毛のタイツ。それからもこもこのブーツに耳当て、マフラー。

この装備でも寒いものは寒い。そのうえ冷え症なため、指先が凍りそうだ。

｢……寒いの分かってて手袋してきてないんですか？｣
｢冷え症の人間がそんな阿呆なことするとでも？｣

貴方ならしかねません、と、にべもなくスルーされてしまった。

違う。昨日、釘に引っ掛けて手袋を裂いてしまっただけだ。今日はその手袋を買いに行くついでのデェトじゃないですか。

｢冷たい…。｣
｢…うるさいですね、ほら｣

ドストさんの白くて細い手が差し出される。
がじがじしてるからちょっと傷んでるけど、全然綺麗だ。

｢え、…っと｣
｢鈍いですね本当に｣

息を吹き掛けて暖めていた手を取られ、ドストさんのコートへ突っ込まれる。−手は、繋いだまま。

｢っ〜〜〜〜⁉｣
｢これなら暖かいでしょう｣

触れられた手から、ドストさんの温もりが伝わってきて、じんわり暖かくなる。

｢ドストさん…。ありがとうございます｣
｢何がですか？｣

そんなところも好き。


【リクエストありがとうございました！こんな感じでよろしかったでしょうか…。】

【立原道造・成人の日】→←【国木田独歩・年越し新年】※加筆修正した

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