77 絶望 ページ27
仁王の手にAのものが握られているのを見て、さらに追い討ちがかかる。
ブ「……」
*
水族館に行った時に俺が思わずAを好きだとこぼしてから、仁王には何度か相談に乗ってもらっていた。
相談といっても雑談みたいに軽い感じだったが、なんだかんだ背中を押してくれるアイツは当然俺の事を応援してくれてるもんだと思ってた
すっかり頭から抜け落ちていたが、アイツはペテン師と呼ばれる男。仮にAを良く思っているならば俺の知らないところで何が起こってもおかしくはない。
ブ「(だって2人で1時間部屋で過ごすって、つまり…そういう…)」
俺が悪い妄想にただただ項垂れていると、
仁王は溜息をついてやっと体ごと俺の方を向いた。
揺れる綺麗な銀髪が、今日はなぜだか心底憎たらしく見える
仁「おい、何を想像しとるか知らんが……Aが午前で仕事が終わらんの分かっとったじゃろ。今更機嫌悪くなる位なら、俺よりも早く手伝いにいくべきだったんじゃないかの」
ブ「…は?手伝い?」
キョトンとする俺を見下し嫌な笑みを浮かべる。
仁「ほれ、見てみんしゃい。この通り俺はAの計算を代わりにやってやっただけじゃき」
そう言ってダルそうに俺に見せられたタイム表は、
確かにAの字では無かった。
ブ「あ…」
見せられた紙を見てドキリとする。
そうか、俺はAの事助けようともしないで…
彼が言うには、アイツが終わらなかった分を代わりにやっていただけらしい。
まぁ確かに…Aと2人で降りてこなかった所を見ると、部屋に2人でいた訳じゃないのかもしれない。
ブ「…けどわざわざ上まで行ってやる事かよぃ?」
仁「Aも他人にやらせてる所なんざ誰にも見られたくないじゃろ」
ブ「……」
苦し紛れにも返す言葉がなくなった俺は、ただその場に立ち尽くした。
仁「ハァ…そんな顔しなさんな。そろそろもういいかの、練習に遅れるわけにいかんのでな」
仁王はわざとらしくため息をつき、
俺の肩をトンと叩いてそのまま俺の横を通り過ぎていく。
その時仁王の髪からまだ新しいAの香りがした。
ブ「…!!」
もう、何が本当で何が嘘なのかわからねぇよい…
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キャメル(プロフ) - まゆさん» まゆさん、ありがとうございます!(;_;)その言葉で私もお仕事頑張れるし、ほんとに嬉しいです…これからもどうぞよろしくお願いします^_^ (2022年10月31日 21時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - おもしろいです。更新楽しみに仕事頑張れます(o^^o) (2022年10月31日 19時) (レス) @page49 id: d99fc6d444 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - 小筆さん» 初めまして、小筆さん!!そんなそんなありがとうございます!!そういうふうに言って頂けるだけで本当に嬉しいです(^^)これからも楽しんでもらえる様に頑張るので見守って頂けたら嬉しいです❣️ (2022年10月18日 22時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
小筆(プロフ) - いつも見させて頂いてます!大好きなお話なので、これからも頑張って下さい!ずっと応援してます! (2022年10月18日 21時) (レス) id: fe225f18e6 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - こかさいだーさん» 詫びようとする幸村くんいいなと思って書いたので反応してくれて嬉しいですw(^ ^)!!!!詫びすぎず詫びなすぎず頑張ってほしいですね🤭 (2022年9月29日 15時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:研究員 | 作成日時:2022年9月21日 20時