【テニプリ 】 仕事をしてただけなのに… 2

64 【柳vs幸村】誤解 ページ14

柳「は……精市、何を言って…」


幸「Aさんの事が気になって仕方ないから、GPSを使って選手でもない彼女を追い回して、結果ノートが鞄に入りきらなくなるほどデータを取っていたんじゃないのかい？」


柳「……な」


全く根拠のない言い掛かりに、頭がついていけずに言葉を失う。


だがそれ以上に、あまりにも配慮に欠ける精市のその言葉に、
喉元がねじられる様なギュンとした痛みが突き上げる。



柳「(…俺が…実行犯だと言いたいのか…？)」




精市…俺たちは仮にも立海の3強として、
決して短くはない時間を共にしたはず


それこそメンバー全員に言えることだが、
同じ頂を目指した同志だからこそそれなりに信頼があるものだと思っていた。


数々の困難を乗り越えて築き上げてきた信頼は無意味だったのかと、俺の中で確かにズキズキと心の傷む声がした



柳「(つまり弦一郎からGPSの解析を頼まれた時点で既に、
最初から俺の仕業だと思っていたと言うことか、精市…)」



幸「ねぇ、どうなんだい」



柳「……はっきり言っておくがな。俺はAが嫌がるであろうことは一切しない。今まで俺の何を見てきた？根拠のない当て付けをされるとは非常に残念だよ、精市」


らしくないかもしれないが、傷ついた心を掻き消すために強い言葉を吐く。

仲間にこんな事を言ったのは初めてかもしれない。
思わず握りしめた拳の中にはジトジトと汗が滴っていた。


幸「じゃあどうしてAさんがうちに来たタイミングであんなにノートが増えたの？」



柳「…おそらく精市の見たその大量のノートは、俺がA本人ではなく周りの連中の行動を記録していたものだ。

お前が感づいていた通り、Aによって良くない影響を受けている者がいる事は俺も感じていたのでな。


…よってGPSをつけた真犯人も、俺は知っている」

65 【柳vs幸村】心理戦→←63 【柳vs幸村】仲間割れ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す