【テニプリ 】仕事をしてただけなのに…1

40 不安 ページ40

〜幸村Side 〜

幸「ほら、置いて行かれちゃうよ」

『う、うん…』

氷帝のマネージャーに呼び止められたAさんの手を引いて順路に従い歩いていく。

それよりも初対面で我等立海の異変に気づくとは、
あの斎藤という男は相当勘が鋭い様だ。


ストーカーに心当たりはないけれど正直なところ、斎藤が言う様にAさんが来てからの数週間で個々の選手に影響が出てきている事には薄々気付いていた。


ブン太はずっとスマホを気にする様になったし、


真田は遅刻こそしないけど寝不足や謎の怪我が増えた。


仁王はこの前こっそりAさんの写真を撮ってニヤニヤしてるのを見たし…


柳に関しては、選手でもないAさんのデータを集め鞄がノートでパンパンになっている。


赤也は今朝みたいに自分の洋服やモノなどを毎日のようにAさんに渡しているのを見かける。
　
柳生も必要ないくらいにエスコートしたがるしジャッカルも2人きりだとまだ緊張するって言ってた。


鈍感な人なら気づかない事だろうが、俺からすれば普通じゃないのは見てとれた。


…けど正直いうと、テニスとは別に彼女を自分の生活の一部にしたいという皆の気持ちは俺にも少なからず分かるんだ。


ある晩それとなく描いてみたAさんの絵を、いつの間にか描く事がやめられなくなってしまった様に。
可愛いだけじゃなくて、怒った顔や傷ついた顔、いろんな表情を創造するのが楽しくて仕方ない事。


幸「(…けどこのままだと、いつかAさんが異変に気づいて俺たちから離れていってしまわないだろうか？)」


氷帝のマネージャーにこれ以上勘付かれれば、
Aさんに余計な口出しをしかねないだろう。

幸「(場合によっては皆にも話す必要がありそうだ)」

まだ余裕でいられるうちは良いけど、
ちょっと様子を見る必要があるな、と心の中で呟いた。

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