8 気に入った ページ9
・
信じられない、というような表情をするAちゃん。
別に、生徒会に入れたいわけやない。
ただちょっと、面白そうな子がいるなぁー、って。最初は興味本位。
復讐とか言い出したのは、まぁ…あれやな。他人の修羅場に首突っ込みたい、野次馬精神やな。
周りには猫かぶる女が殆どやし、あんな剣幕で怒鳴る子なんて見たことないやん？
あんな気の強い子の泣き顔、見てみたいなぁ…なんて。
『…何したいんですかホントに』
ロボロの提案通り、嫌がってるのは百も承知で絡んでみたりした。
口が悪いのはもうバレてんのに、俺に対して怒鳴るとかそういうのは全くなくて。
むしろ困ってるのがもろ分かりで、余計におもろいな、って思ったり。
あれやな、トントンに無理やり飯食わせてる時の感覚に似てるわ。
ため息をついてしゃがみ込むAちゃん。
俺もしゃがんで、目線を合わせる。
『私になんの恨みがあるんですか…』
「別に恨みとかではないで？ただ面白そうやから」
『面白そう、って…』
そんなげんなりした顔せんといてよ。
『ゾムさんと関わると、他の女子からの恨みがすごいんですよ…』
「知っとる」
『……最低』
「じゃあ、一個だけお願い聞いてくれたら、付き纏うのやめてもええで」
『ホントですか？！』
おぉ…、すごい食いつくやん。
「再来月に文化祭があるやろ？その実行委員になってほしいねん」
『文化祭実行委員…？』
なんだそんなことか、というような顔。
まぁそれだけなわけないんやけどな。
『…ホントにそれだけでいいんですか？』
「せやで」
さっきと一変。明るい表情をしたAちゃんは、約束ですよ？！と俺に念を押す。
勿論。
俺の返事を聞き、彼女は安心したようにその場を後にした。
来週の実行委員顔合わせが楽しみやな。
＊
あれから一週間、ゾムさんからの干渉は驚くほどなくなった。
むしろ、何かあったの？と悠人に聞かれ、話す機会が出来たくらいだ。
女子からの執拗な嫌がらせも日に日に収まり、私の日常は平穏なものになりつつある。
そして最初の委員会日。
「あれ、Aやん」
聞き慣れた声に名前を呼ばれ振り向けば、幼馴染みのコネシマが嬉しそうに駆け寄ってくる。
彼とは小学校の頃からの付き合いだ。
「久しぶり！もしかしてコネシマも実行委員？」
「いや、俺はちゃうで」
生徒会やから。その言葉を聞き、私の脳裏に彼の顔がよぎった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1998人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悠(プロフ) - 自分が設定してた自分の名前と彼氏の名前が一緒でややこしい事になってましたw奇跡。小説めっちゃ面白いです (2021年5月19日 23時) (
レス) id: 7e4efb4011 (このIDを非表示/違反報告)
ゆだ - 面白いですね (2021年3月1日 17時) (レス) id: e2d5e79f0c (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - コメント失礼します。すごく面白いです！続きが気になるので更新いつまでも待っています！ (2021年2月2日 21時) (レス) id: 4b52fa3010 (このIDを非表示/違反報告)
カコ(プロフ) - コメント失礼します！このお話大好きです！更新待ってます！ (2020年11月3日 0時) (レス) id: e319902130 (このIDを非表示/違反報告)
ゴミ箱 - とてもいいお話ですね、読んでいて楽しかったです。更新はいつまでも待っています。頑張ってください！ (2020年8月16日 10時) (レス) id: c162b9accc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かまぼこ | 作成日時：2020年3月27日 22時
