6 気に入られた ページ7
＊
ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ…
聞き慣れた目覚ましの音。
重たい瞼を持ち上げ目を開けば、スマホの画面が視界に入る。
7時ぴったり。
カーテンを開ければ眩しい朝日が飛び込んできて、ベランダに立つ笑顔の彼と目があった。
………は？
光の速さでカーテンを閉じる。
え、何あれ。なんでいんの？夢？昨日のことがあったから悪質な夢を見続けてるのか？
否、唸った頬は確かに痛い、どうやら夢ではないらしい。
恐る恐る再びカーテンを開ければ、そこにはやはり笑顔のゾムさんが立っていて。
「なー、窓開けてくれへん？」
『何してるんですかこんな所で』
もちろん窓は開けない。
迎えに来たで。なんて意味不明なことを言うもんだから、再びカーテンを閉めた。
…迎えに来た、って何？
取り敢えず落ち着こう、髪を整え、パジャマから制服へと着替える。
朝ごはんを食べて、40分ほど経っただろうか。
頭はすでにすっきり目覚めており、やっぱり寝ぼけてたのかも。という結論に至った。
持ち物を確認し、玄関の扉を開ける。
「あ、もう出るん？」
『………？』
一旦扉を閉めて、と思ったが間に合わず。
ｶﾞﾝｯという音共にゾムさんの足が扉の隙間に入れられる。
「ちょ、急に閉めることないやん！」
『……』
「なんか喋ってや！」
相手は男子、しかも運動神経抜群と来た。力勝負で勝てるはずもなく。
呆気なく扉は開かれてしまい、玄関に入られてしまう。
『出てってください』
「え、何で？もう学校行くんやろ？一緒に行こ」
『遠慮しときます』
「別に同じ学校やしええやん」
何もよくねーよ。
とは言えず、スマホに目を向ければ8時前。あと15分しかない。
『取り敢えずどいてください』
「一緒に行ってくれるならええで」
…おいおい嘘だろ。
二人で登校してるところを見られたら？
しかも、寮から二人で出てきた。なんて噂が広まれば？間違いない、判決は極刑だ。
恨めしくゾムさんを見上げるも、彼の表情はどこ吹く風。
寮から学校までは歩いて5分。時間も迫ってきてる。
ゾムさんと登校して恨みを買うか。
ゾムさんと二人で遅刻して恨みを買うか。
欠席、はあまりしたくないけど…。
『…私、今日体調悪いんですけど、』
「Aちゃんが休むなら俺も休むで？」
昨日のこともある、二人で欠席は一番まずい。
『…わかりました』
こんなの、最終的に一択しかないんだよなぁ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1998人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悠(プロフ) - 自分が設定してた自分の名前と彼氏の名前が一緒でややこしい事になってましたw奇跡。小説めっちゃ面白いです (2021年5月19日 23時) (
レス) id: 7e4efb4011 (このIDを非表示/違反報告)
ゆだ - 面白いですね (2021年3月1日 17時) (レス) id: e2d5e79f0c (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - コメント失礼します。すごく面白いです！続きが気になるので更新いつまでも待っています！ (2021年2月2日 21時) (レス) id: 4b52fa3010 (このIDを非表示/違反報告)
カコ(プロフ) - コメント失礼します！このお話大好きです！更新待ってます！ (2020年11月3日 0時) (レス) id: e319902130 (このIDを非表示/違反報告)
ゴミ箱 - とてもいいお話ですね、読んでいて楽しかったです。更新はいつまでも待っています。頑張ってください！ (2020年8月16日 10時) (レス) id: c162b9accc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かまぼこ | 作成日時：2020年3月27日 22時
