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「…あーその、昨日は、」
『昨日は見苦しい所を見せてすみません』
少し驚いたような顔。
どう触れるべきか、トントンさんも迷っていたようだったが、私はストレートに切り出した。
私が感情的になってしまい、一方的に怒鳴っただけ。別に、隠すようなことでもない。
「いや、こっちこそ…ゾムが少し前から君にちょっかい出してるって聞いとったし」
『え、そうなんですか?』
「シャオロンたちが話とったよ。ゾムが女の子追いかけてる!って…。まぁ、珍しいことやし騒ぐ気持ちもわかるけどなぁ」
シャオロン…って確か、昨日のフレンドリーな方、だよね。
意外と積極的に話しかけてくる、とは思ってたけど、生徒会内で私は少し話題だったらしい。
私が生徒会のファンだったら、即成仏してただろうなぁ…。
『昨日ゾムが何か言ってたりとかしました…?』
「特に何も。真っ青な顔して、話も上の空ではあったけど」
よかった…。
物凄く怒らせてしまって、生徒会から目をつけられたらどうしようかと悩んでいたが、杞憂だったらしい。
去年、不良生徒が外で万引きばかりして、生徒会から締め上げられたことがある。
もちろん動いたのは生徒会役員のみ。彼らは学力だけでなく、武力までも備わっているらしい。
敵に回したら学校生活は終わりだ。
「でもよかった…、またゾムが変なことして、宮本さん困らせたのかと…」
『とんでもない、今回は私が悪いんです。少し、勘違いしてたみたいで』
「ホンマに酷いことされたらすぐ言ってな。アイツら、少し…いや、かなり加減を知らないから」
アイツら、ということは他の生徒会役員も含まれているのだろう。
感情の篭ったため息から、常識人のトントンさんが苦労しているのは容易く読み取れる。
『ありがとうございます』
「あと、別に同じ学年やし、無理に敬語じゃなくてええで。一緒に準備もしていくわけやし」
『…それも、そうですね』
副会長とタメ口なんて気が引けるけど、これも彼なりに気を使ってくれてるのかも知れない。
有り難く言葉に甘えることにしよう。
「にしても、なかなかいい本見つからんな」
『この学校、図書室が無駄に広いですもんね』
「あー…それは多分、グルさんのせいやわ」
グルさん、とは生徒会長のことだろうか?
トントンが再び口を開いた時。
「おや、お二人とも何かお探しですか?」
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悠(プロフ) - 自分が設定してた自分の名前と彼氏の名前が一緒でややこしい事になってましたw奇跡。小説めっちゃ面白いです (2021年5月19日 23時) (レス) id: 7e4efb4011 (このIDを非表示/違反報告)
ゆだ - 面白いですね (2021年3月1日 17時) (レス) id: e2d5e79f0c (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - コメント失礼します。すごく面白いです!続きが気になるので更新いつまでも待っています! (2021年2月2日 21時) (レス) id: 4b52fa3010 (このIDを非表示/違反報告)
カコ(プロフ) - コメント失礼します!このお話大好きです!更新待ってます! (2020年11月3日 0時) (レス) id: e319902130 (このIDを非表示/違反報告)
ゴミ箱 - とてもいいお話ですね、読んでいて楽しかったです。更新はいつまでも待っています。頑張ってください! (2020年8月16日 10時) (レス) id: c162b9accc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこ | 作成日時:2020年3月27日 22時