33「痛みが消え去らない」 ページ33
side 薬研
大将と信濃が逃げていったあと、腹の痛みを抑えながら、俺の体は、気絶した審神者を審神者の部屋へと連れていった。
……許されないことをしたって、わかってる。
俺は、大将に、信濃に刀を向けちまった。
あの時、確実に大将に傷を負わせた。
信濃を切りつけた。
……体がまるで他人のものになったようで、頭の中で、煩い女の声が、俺を操っていた。
自分の弱さが、嫌だ。
こうも簡単にこの女に操られた自分自身が、どうしようもなく嫌だ。
膝に頭をうずめる。
意識を取り戻し、正面に座っていた審神者が、くす、と笑った。
「うふふ、なあに、薬研。
自分の主を傷つけちゃったこと、後悔してるの?」
そっと肩に手を置かれる。
……どうして、俺はそのとき、その手を振り払えなかったんだろう。
「辛いでしょ?
きっと見習いもあんたのこと、嫌いになっちゃったのよ。
……でも、安心して?
あたしの物になれば……きっとその辛さを消してしまえるわ」
はっ、と顔を上げる。
俺の顔を覗き込む瞳が、吸い込まれそうなほど黒い。
この世の何より、黒い。
「っ、や、やめろ!!」
どん、と突き放す。
立ち上がり、俺は、審神者を睨み付けた。
「俺は、大将の懐刀だ!!
絶対に……お前なんかっ……!!」
ぽた、ぽた、と涙が畳に染みを作る。
果たして、こんなことを言う資格が俺にはあるのか?
自分の弱さが、とてつもなく嫌だ。
俺自身が、大嫌いだ。
「……俺は、必ず大将のもとに帰る」
……けじめを、つけなければ。
ぐい、と涙を袖で拭い、俺は刀を審神者に向ける。
「その為に、お前を殺す。
それが俺に出来る、大将たちへの償いなんだ」
「……そう。
そうしてしまうの。
なら、仕方がないわね。
……一期」
……え?
襖が開き、そこから人が出てくる。
俺は、凝視してしまう。
だって、そんな、こんなことって＿＿＿。
目の光を失った兄を、……一期一振は、冷たい双眸を、俺に向け。
「いち、兄……」
「一期一振、」
静かに、刀を抜き放つ。
「＿＿＿＿参る」
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硝子屋梛霧(プロフ) - 僕，理数っ☆さん» 閲覧ありがとうございます！右目が黄色、左目が青です。 (2019年3月13日 7時) (
レス) id: 2cd0d38961 (このIDを非表示/違反報告)
僕，理数っ☆ - オッドアイの色は何色ですか~？ (2019年3月13日 0時) (レス) id: d73fedcf27 (このIDを非表示/違反報告)
琥雪国永 - この審神者のっとられればいいのに 続きお願いするぜ (2018年11月30日 10時) (レス) id: 67d7645157 (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋梛霧(プロフ) - 伍目神さん» 個人的に、伍目神さんの意見に納得しましたので、訂正させていただきます。ご指摘ありがとうございました！ (2017年9月25日 18時) (レス) id: d7d1167bbc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋梛霧(プロフ) - 伍目神さん» 貴重なご意見ありがとうございます！なるほど、確かにそうですね……未プレイなもので、そういうことに疎く、申し訳ありません……!!私の中で神力と霊力は名前をつけて区別しているだけで、名称に関係は無いです……混乱させてしまい申し訳ありません。 (2017年9月25日 18時) (レス) id: d7d1167bbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梛霧 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年8月17日 22時
