騎士王と業火の姫君弍ノ章 (ページ34)

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地下編⑤ ページ34

母「どうしたの、A。お母さん、今日はパーティの準備で忙しい…って、彼は？」

A「お母様！彼はアーサー、私の騎士になってもらうの！」

母「A…、あなた自分が何を言っているのかわかってるの？！彼の身分は貴族、ではないわよね？」

さすがのお母様も難色を示す。
でも引き下がる訳にはいかない。
もうアーサーに辛い思いさせたくない。

A「貴族ではないけど…。でもこれからずっと私のそばにいてくれるって約束してくれたの！私の騎士はアーサーじゃなきゃイヤ！」

母「…あなたが親にここまで反抗することなんてあったかしらね…。それだけ本気なのね？
アーサー君と言ったかしら。騎士は並大抵の覚悟じゃ務まらないのよ？騎士となった暁には厳しい礼儀作法の訓練や騎士として姫を守るための訓練をたくさんこなさなくてはいけないの。それでもこの子の騎士になり、そばで守ってくれるというの？」

アーサー「りょうかいした！」

２つ返事で答えるアーサー。
ちゃんとわかってるのかは怪しいけど…。

母「2人の気持ちはわかったわ…。アーサー君がAの騎士になれるよう私が手を尽くします。騎士候補としてまずは身なりを整えて今日のパーティに出てみましょうか」

A「お母様大好き！！」

母「はいはい。Aもそろそろドレスに着替えなさい。
アーサー君は私と一緒に着いてきて」

去り際にお母様は私の耳元でいたずらに笑う。

母「全くAったら…。アーサー君に一目惚れでもしちゃったのかしら。ママとパパとの若い頃を思い出しちゃうわ」

そこから画面は切り替わってパーティでの出来事に移る。
アーサーは少し離れたところでお母様のそばでお父様に挨拶をしている。
来賓に挨拶をしている私にクロウドが近付き、″蟲″の入った小瓶をあてた。
″蟲″が体内に入った瞬間、私の体を炎が包み込む。
その炎が周りの人達の服やテーブルのクロスなどに燃え移っていく。
気付いたアーサーがこちらに駆けてくる。

クロウド「見たことのない少年だな。伝導者の意の元に君にも″蟲″を授けてあげるよ。万が一があるかもしれないからね」

クロウドが″蟲″の入った小瓶をアーサーに押し付けようとする。
お母様がアーサーを抱きかかえるようにして庇う。
″蟲″がお母様の体内に入り…お母様が″焔ビト″化する。
止めに入ろうとしたお父様にも″蟲″を使う。

お母様…お父様…。
愛する2人を私から奪ったのもこの男なんだね…。