騎士王と業火の姫君弍ノ章 (ページ33)

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地下編④ ページ33

A「さてと…あなたの名前と年齢を伺っても？」

アーサー「俺の名はアーサー・ボイル！小さなぼろアパートの王だ！年は…この前10才になった！」

そう言ってアーサーは茶菓子に目を輝かせながらモグモグ頬張ってく。

A「小さなぼろアパートの王？アーサーは王様なの？」

アーサー「そうだぞ！父上と母上は俺に王を任命して、世界を救う旅に出てるんだ！」

何を言ってるかちょっとよくわからないけど、嘘を言っているようにも見えない。

A「ご両親はいつからその旅に？」

アーサー「うーん、1ヶ月くらい前か…？」

1ヶ月？！
私と同い年の子が1ヶ月も親がいない状態でいるなんて信じられない…。
でも会った時からお腹すかせてたし…。

A「アーサーはこの1ヶ月どうやって過ごしてきたの…？ご飯は…？」

アーサー「最初は冷蔵庫の残りとか家で見つけたお金とかでご飯を買っていたが、最近はティッシュとか段ボールだな。運が良いとレストランの残飯がもらえたりする」

A「ばかじゃないの？！なんで周りの大人に助けを求めないの？！警察とかに言えばいくらでも保護してもらえるでしょ？！」

同い年の子がティッシュや段ボールを食べて生活しているなんて聞いて、私は目眩がしそうだった。
驚くよりも悲しくなった。
私がここで何不自由なく暮らしている中で外の世界にはこんなに必死で生きている人がいるなんて…。

アーサー「俺は王だぞ？1人でも大丈夫なんだ」

アーサーは本気でそう思ってるみたいだった。
私はどうにかしてこの少年を助けたいと幼な心ながらに強く思った。

A「アーサー。私、あなたを王には出来ないけど私の騎士にならしてあげられるよ？
そしたらずっとこの屋敷で美味しいご飯が食べられるし！騎士のすることはそうね…これからずっと私のそばにいること！どう？」

アーサー「騎士…。Aのそばにいるだけでいいのか？」

A「本当の騎士はね姫を守るのが仕事なの。でも私は別に守ってもらうようなことないし…そばにいて外の世界の話が聞かせて欲しいな。私、城から出たことないから」

アーサーは少し何かを考えているようだった。

アーサー「騎士も…王になれるのか？」

A「ほんとの王様は血の繋がりがないと無理だと思うけど…騎士の中の王、騎士王にはなれるよ！」

アーサー「そうか！ならば俺がAの騎士になってやる！何があってもAを守る！」

その返事を聞いて私はお母様を部屋へ呼んだ。