騎士王と業火の姫君弍ノ章 (ページ31)

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地下編② ページ31

ヴァルカンさんとリヒトさんが増えてマッチボックスもだいぶ狭くなったなぁ。

アイリス「聖陽教では太陽神さまの光が届かない地下は″地獄″と繋がっていると言われています。人ならざる者が住まう″不浄の地″です…。ちょーこわいんです…」

シスターにそのつもりがなくても十分脅しです…。
マキさんとタマキも抱き合ってるし、私も思わずアーサーの腕にしがみついてた。
男性陣の顔も心なしか強張っている。
あぁ、もちろんアーサー以外。

地下への門の前に着いてしまい、ざわめく私たち。
平気そうなのは火縄中隊長とアーサー、リヒトさんくらいだ。
シスターが祝詞を捧げるとドアが勝手に開いた…。
と思ったら地下経験者のヴァルカンがボタンを押しただけだった…。
タマキとマキさんと手を取り合って怖い怖いと騒ぐ。
アーサーは地下に興味津々で盾にならん。

アーサー「中に何があるんだよ！！見せてくれ」

大隊長を押してまで中が気になるらしい。
てか大隊長でもこんなにビビるのか…。
マキさんがプスプスを出してくれてちょっと安らぐ。

桜備「今いる場所が地獄であることを忘れるな。伝導者の拠点、人体発火の謎はここにある…。油断せず進もう」

大隊長がみんなの気を引き締めた途端、暗闇から火華大隊長が手を伸ばしてきた。

火華「た…たす…たすげでェェ！！」

そのまま闇の中ぬ消えていった火華大隊長。
闇からは叫び声が聞こえたけど、火華大隊長の匂いじゃなかったからきっと浅草の時と同じ能力者の仕業だろう。

その瞬間、霧で辺りが覆われて、みんなと散り散りになってしまう。
白装束が隊員になりすまして煽動してるみたいだ。
どうせ散り散りになってしまったのなら、と私はクロウドの匂いがする方に向かう。
追おうと思えばアーサーの匂いを追うことも出来たけど、私は私でやらなきゃいけない戦いがある。

クロウド「おや。1人で来たのかい？この前の男は一緒じゃないのか。君の前でアイツを斬るのを楽しみにしていたのに」

A「兄様にアーサーは斬れません。私は今日、貴方を倒します」

私は無意識にアーサーからもらった指輪を撫でる。
私の言葉に兄様はさぞおかしそうに笑った。

クロウド「クックック、一丁前に指輪なんてして。君に何が出来るって言うんだい？甘ったれのお姫様が！！！」

そう言って剣を振るってくる兄様。
私は間合いに入らないように距離を取る。
大丈夫、剣士との戦い方なら浅草でアーサーといっぱい特訓した。
私は負けない。