蒼穹を探して 40 ページ10
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知っている。知っているからだ。
この後どうなるか。知っている気がする。何で。
私は、夏油に。
知らない。
ころ
知らない。
何も知らない。
「ああそうだね。君は何も知らなくていい」
私の乱れた思考を読んだかのように、夏油が言葉を発した。覆い被さるように、夏油が私を抱き締めた。
「げと」
「猿共の醜さも、人を殺した時の感触も、清々しさも。何も知らなくていい。
君と私は最初から違ったんだ。どうして気が付かなかったんだろう。分かってくれなくても良いと口では言いながら、君なら分かってくれると、そう信じていたのかもしれない」
「え」
私の中の渦巻く混沌を、思考を、肯定してくれたのかと。一瞬だけ、そう思った期待が、淡く崩れ去る。
そうだ。バカだ。人の心なんて読めるわけが無い。
夏油が私の胸の内の焦りを知って声をかけてくれるなんて、そんなことあるはずが無いのだ。
「一緒に行こうだなんて馬鹿げてるな。私ひとりでいいんだ。この世界を変えるために、君についてきてもらう必要なんてない。
ただ、そうだな。私は、君がね。君を、その。
はは、何だか恥ずかしいな」
そう、思春期の男性らしく恥じらうように話す夏油を、私は絶望した眼で見上げる。
こいつは、何を言っているんだ。
今にでも、私の全身の骨を砕いてしまいそうな程に、力を入れて私を抱きしめてるくせに。
苦しくて、振り絞った声は喉を通らない。
締め付けられた体がミシミシと悲鳴をあげている。
いたいいたいいたい！
血液が滞っている。酸素も上手く回らない。
1箇所に溜まり始めた血液と酸素が、主張するように熱を帯びる。血の回らなくなった部位が、痺れて冷たくなっていく。
「取り敢えず、私の目の届かない位置に君がいるのは、すごく嫌なんだ。だから、この手で＿＿＿＿」
意識が遠のく感覚がした。
溶け落ちていく思考の向こうで、ボキボキと何かが次々に折れて砕ける音がする。その度に私の身体だった肉体から小さな衝撃を感じ、また熱を帯びる。
内側から燃え上がるような熱。
あついあついと思いつつも、どこか他人事のようにも感じる。
だって、すごく遠い。
「それくらい私は君のことを、
愛してるんだ」
遠く、どこからかも分からない。
声が、聞こえて、わた、私、わた＿＿＿＿＿＿
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えりんぎのバター炒め(プロフ) - ゆうさん» 続きあります！亀さながらのゆっくり更新ではありますが、今後もお付き合いいただけたら幸いです🤗 (4月13日 17時) (
レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きってないんですか？待ってます (3月20日 22時) (レス) @page12 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2024年1月28日 17時
