蒼穹を探して 37 ページ7
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ゆっくりと振り返った夏油は、私を見て「ああ」と声を漏らし、浅い笑みを浮かべた。
「やあA、何だか久しぶりな気がするね。最近任務がたくさん入っていて大変だったろう」
何を言うか。迷っていた私の鼓膜をついたのは、いつも通りの夏油の言葉だった。
背筋を走っていた緊張が途端に解け、拍子抜けしてしまう。
「あ……」
だらんと腕が垂れ下がる。
強ばりや緊張がとけてしまえば、またその糸を張るには時間と体力がいるというのに。
それなのに、夏油の普段通りの姿は、縋り付きたくなるほどに優しい。
一般人を大勢殺したなんて、やっぱり勘違いかなにかなんじゃないか。
ふと過ぎった思考は、縋るには甘美すぎる。
それでも
勘違いならどれだけいいかと。震える喉から声を振り絞る。
「夏油、人、一般人を、こ、殺した……って」
勘違いか、何かの間違いであれと、そう強く願いながら。先程耳元で強く感じた五条の戸惑いを、杞憂にさせてほしいと。願って。
私の言葉を聞き、一瞬キョトンとした顔をした夏油が「ああ」とまた柔く笑みを浮かべる。
「そうだね……悟から聞いたのかい？それとも学長？……まあ誰でもいいか」
おぞましさを感じるには、十分だった。
目の前の男はもう、私の知っている夏油では無い。
きっと違う。
だって
「本当だよ。猿共を殺したのは」
彼は人を殺しておいてこんなに清々しく笑うような人ではなかったはずだから。
「弱きを助け強きをくじく。
夏油はずっとそう言ってた、じゃん。なんっ、で」
呼吸が浅い。必死に息を吸って言葉を紡ぐ。
そうやって、説得にも満たない言葉を発する度に、頭がズキズキと殴られるように痛む。
それと同時に誰かの声と場面がチカチカと点滅する。
ああ、これは。
“夏油、ちが＿＿＿まだ＿＿れる。一緒に＿＿＿＿＿＿＿＿ろう……？私が＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿”
いつかの私だ。
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えりんぎのバター炒め(プロフ) - ゆうさん» 続きあります！亀さながらのゆっくり更新ではありますが、今後もお付き合いいただけたら幸いです🤗 (4月13日 17時) (
レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きってないんですか？待ってます (3月20日 22時) (レス) @page12 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2024年1月28日 17時
