蒼穹を探して 36 ページ6
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例えば溜まり溜まった気持ちが泡水のように脆く膨れ上がるものだとしたら、それはいつか弾けて跡形もなく割れてしまうんじゃないかと。
強く信じていた自分の中の何かが、とても醜く守る価値もないものだと感じてしまったら。
それはどれくらい辛くて苦しいのか。
電話口から聞こえる五条の声は冷静を装うには焦燥が滲み出すぎていた。彼自身困惑していて、私にそれを伝えることで増す現実味についていけていないのだと思う。
けれど、それは私も同じで。
取り落としそうになった携帯を慌てて強く握りしめる。じとりと滲んだ汗が暑さのせいなのか、なんなのか。
「え……？」
やっと喉から絞り出せた声はまるで迷子の幼子のように頼りなかったと思う。五条にもう一度同じことを言わせるような返事をした事を後悔するには、もう少し冷静さが必要だった。
暫らく沈黙が降りて、もう一度五条がそれを口にした。あまりにも突然で、呆気なくて。
「傑が一般人を大勢殺して逃げた」
＿＿
脳内をフラッシュバックするように、断片的に思い出す記憶がある。それはすごく昔の事のようで、つい最近の事のようにも感じる。それでも確かに私が今生きているところとは別だと、それだけはなんとなく分かった。
靄がかかったように、白飛びした写真のフィルムのように。それなのに確かに私の記憶の奥底に眠り、思い出せと、時折強く私を呼び起こす。
これはなんだろう。
一体私は何を知っていて、何を忘れていると言うんだろう。
思い出せと、そう強く促すくらいだったら、思い出させて欲しい。
心臓を揺るがしてやまないこの焦燥感の正体を、教えて欲しい。
ああ、いつからだろう。いや、ずっと前からだ。
ずっと前から＿＿＿＿＿＿
「げとう」
見知った広い背中。長くパサついた黒髪。
あんなに綺麗で、女子に負けず劣らずだった髪質が、いつからかまばらに跳ねるようになった。
それに気付いていた事さえ忘れてしまう。
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えりんぎのバター炒め(プロフ) - ゆうさん» 続きあります！亀さながらのゆっくり更新ではありますが、今後もお付き合いいただけたら幸いです🤗 (4月13日 17時) (
レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きってないんですか？待ってます (3月20日 22時) (レス) @page12 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2024年1月28日 17時
