蒼穹を探して 35 ページ5
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「あっちぃ〜〜！」
ハッとした。鼓膜に透明な膜が張っていたかのように、その声を合図にパチリと弾けて外界の音が流れ込んでくる。
焦燥を駆るような蝉の鳴く声。湿気と熱を乗せて頬を撫でるように生ぬるく風が吹く。
少し離れたところから歩いてくる五条が見えて、やっと先程の声が五条の発した言葉だと気がつく。
なんで、私。
そっか。五条の術式オート発動の実験だったんだ。消しゴムと、ペン。投げたものは全て五条の目の前で薄い壁に弾かれるように跳ね返った。
さっきまで、夏油も。
パッと周りを見回せばもう夏油の姿は見当たらない。木陰に座る硝子が見えた。
「どした？A」
近付いてきた五条が私にそう問う。夏油は、そう聞こうとしたのに口が重くうまく動かない。乾燥した口内がパサりと音を立てた。
「なんだよAも夏バテ？」
ヘラっと笑った五条の言葉に、そうかと思い出す。そういえばさっき五条が、夏油に話しかけていた。その後に、任務があると言って夏油が先に校舎に入っていったんだったか。
追いつくには、もう遅そうだ。
小さくため息をつけば、五条が私のおでこにデコピンしてくる。
パチンっと音がなり、小さく弾けた痛みに思わずおでこを抑えた。
「いたい」
「ちゃんと休めよ」
ポンっと頭をひと撫でして五条が横を通り過ぎていく。言われなくても分かってる。
呟いた言葉は重力に逆らえず地面にぽとりと落っこちた。
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えりんぎのバター炒め(プロフ) - ゆうさん» 続きあります！亀さながらのゆっくり更新ではありますが、今後もお付き合いいただけたら幸いです🤗 (4月13日 17時) (
レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きってないんですか？待ってます (3月20日 22時) (レス) @page12 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2024年1月28日 17時
