蒼穹を探して 34 ページ4
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うだるような夏の暑さがジリジリと忍び寄ってくる。
いつの間にか寝る暇もないくらい増えた任務に体を叱咤する日々だった。
人間の負の感情はどれだけ力を持っているというのか。祓っても祓っても、ウジのように湧いてくる。万年人数不足の呪術師は、余すことなく駆り出されるような、そんな多忙な夏だった。
灰原の死を悼む暇なんていくらでもあったのに、それに向き合うのさえ辛くて、思い出さないように任務に明け暮れた。
あの笑顔を、眩しくて温かい彼を、その声音を、思い出そうとすればきっと私は立てなくなってしまう。
だというのに、ふいに過ぎる彼の残像を瞼の裏で追いかけようとすれば、その声さえもう思い出せない。
私は酷い人間だろうか。
その事実から目を背け、任務に逃げれば逃げるほど、灰原の生き様を、声を、話し方を、笑い方を、忘れてしまいそうになる。
灰原の面影を、湿った熱気とセミの喧騒が遮る。
頬を伝った汗を涙と勘違いして、それにまた自嘲する。体を満たす空気が全て蒸されて内側から身を焦がすような錯覚を抱く。
遠くを揺蕩う蜃気楼にも似た逃げ水が瞼を焦がすように焼き付く。拭っても拭っても湧き出す汗が止まらない。汗を拭いてもシャワーを浴びても、自分の中からドロドロと溢れ出すような不快感が絶えない。
最近五条と会ってない。
圧倒的な強さを持つ五条は私なんかよりもっと強くて多い任務に身を焦がしているんだろう。
任務で怪我を負う度に医務室に行き硝子を探すがいないことも多い。たまに会えた時には青白い顔で綺麗な瞳の下に真っ黒なクマをつけていた。それでも私の怪我を治してくれる。
夏油は、どうだろう。
たまにあっても挨拶を交わすくらいだ。あまり顔色は変わらないような気がした。でも前よりも、なんだろう。笑い方、笑い方だろうか。控えめで、疲弊したように目を伏せて笑う。
真っ直ぐ目が合ってもすぐに逸らされる。
暑い。
夏が、私たちを焼き付くさんとせんばかりに過ぎていく。
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えりんぎのバター炒め(プロフ) - ゆうさん» 続きあります！亀さながらのゆっくり更新ではありますが、今後もお付き合いいただけたら幸いです🤗 (4月13日 17時) (
レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きってないんですか？待ってます (3月20日 22時) (レス) @page12 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2024年1月28日 17時
