3度目の蒼穹 7 ページ19
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夏油とは同期だから、顔を合わせないというのにも無理があった。自然と体は彼を避けてしまうが、完全に無視するというのも難しい話。
任務や世間話。話しかけられれば動機と目眩に手足の痙攣が一気に私を襲った。
それをバレないように愛想笑いの裏に隠し、当たり障りのない会話をして席を立つ。一人になれば酷い吐き気と過呼吸に生理的な涙が止まらなかった。
それを何日続けたか分からない。
任務も入り、精神疲労と肉体疲労に蝕まれる日々。
何だかいっそ全てがどうでもいいとさえ思ってしまう。私は何をしてるんだろう。どうせ殺され＿＿＿＿
「A」
パンッ、と目の前で乾いた音が鳴り響いた。目を瞬かせれば、焦点が合った視界に手が映る。手を伝って視線を上げれば五条がいた。目の前で手を叩かれたようだ。
「お前ボーッとしすぎじゃねえ？疲れてんの？」
「いや、」と曖昧な返事をしてベンチの背もたれに預けていた体を起こす。視界をさ迷わせれば、彼の後ろには夏油の姿も見えた。心臓が嫌な鼓動を始める。呼吸が浅くなる前に大きく息を吸った。
よく見れば硝子も彼らの傍にいる。「どうしたの？」と五条に聞けば、「冥さんと歌姫が任務に行ったきり帰ってこないらしくてさ」と彼が事情を説明してくれた。
夏油が何歩かこちらに近づく。
「皆で様子を見に行く事になったのだけど、Aは疲れてるなら休んでいるかい？」
じわじわと冷や汗が吹き出す。ループを自覚してから数日間。私が慣れ始めたのは夏油の方ではなく、夏油に対する自分の拒絶反応の方だった。
夏油の存在を感じて、警鐘を鳴らすような体の不調に、慣れ始めてしまっていた。肝心の夏油への恐怖も何ひとつ拭えないまま。
これじゃダメだと。何も変えられないと。
心のどこかでは分かっているはずなのに。
「や、行こうかな……。2人が心配だし」
確かこれは冥さんも歌姫先輩も、時間の感覚が無い呪霊の生得領域に閉じ込められていたはずだ。
ふたりが無事なことももちろん知っている。
それでもやっぱり前と違う事をした時に大きくなにかが変わってしまうのが怖い。
よたよたと補助監督の車に乗りこむ。車内でも仲のいい彼らはうるさかったが、声は聞こえているのに何を言っているのかはひとつも聞き取れなかった。
目的の場所に辿り着き、五条が術式を使って冥さんと歌姫先輩がいるはずの建物ごと瓦解させる。
その光景は、やっぱり見た事があるもので、何だか笑ってしまった。
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えりんぎのバター炒め(プロフ) - ゆうさん» 続きあります！亀さながらのゆっくり更新ではありますが、今後もお付き合いいただけたら幸いです🤗 (4月13日 17時) (
レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きってないんですか？待ってます (3月20日 22時) (レス) @page12 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2024年1月28日 17時
