3度目の蒼穹 4 ページ16
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有り得るはずのない事実を、それでもこの身で体験した2回の同じ1年間を、痛感する。どういう現象なんだろう。
そもそも何でループしているのか。私の記憶ではこれで三度目の高専２年の夏になるが、本当に三度目なのか。もしかしたら私はずっと……
そこまで考えてゾッとする。深い暗闇に丸呑みにされてしまいそうな恐怖。また大きく震え出す自分自身をだきしめるように両腕を抱える。
「何かあった？まだ顔色も悪いし。それにあんな酷いパニック状態……。心配だよ」
硝子がそっと私の背中に手を添える。脂汗で冷えた体に、じんわりと人肌の温もりが浸透する。心配させている自覚はあるのに、他人の気持ちを慮れるほど今は余裕が無い。
硝子がいうパニック状態というのは、ループ直後の錯乱していた私なのだろう。私からしたら殺されてすぐのような感覚だから脳処理と精神がグチャグチャになっていたのだと思う。だからといって今いつも通りかと言えばそれも違う。
パニックになっていた時の記憶は上手く繋がらないが、全てを忘れている訳では無い。
ごめん、大丈夫と掠れるままに硝子に伝える。それでも硝子の表情は晴れず、さらに心配そうに眉間に皺を寄せるだけだった。
取り敢えず、今は私自身混乱しているし、一度ひとりになって＿＿＿＿
「硝子、Aの具合はどうだい？」
冷静に、深く息を吸って落ち着こうとした瞬間だった。医務室のドアが開く音と共によく聞き慣れた、それでも今1番聞いてはダメな声がした。
カーテンで仕切られた向こう側に人影がうつる。
待って。ダメだ。
どくりどくりと全身が脈打つ音がうるさいくらい鼓膜を支配する。血管の鼓動しか聞こえないようなのに、外界の音もはっきりと流れ込んでくる。
足音が、こっちに近付いて、
呼吸が浅い。苦しい。
「ああ、夏油。今＿＿＿＿」
カーテンの向こう側へと声をかけようとした硝子の腕を強く掴む。思い切り掴んだつもりだったけれど、力は入らなくて、今すぐ腕がベッドの上にボタリと落ちてしまいそうだった。
声は出ない。顔もあげられない。硝子の表情は見えなかったが、私の挙動に反応してこちらに視線を寄越したのは何となくわかった。
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えりんぎのバター炒め(プロフ) - ゆうさん» 続きあります！亀さながらのゆっくり更新ではありますが、今後もお付き合いいただけたら幸いです🤗 (4月13日 17時) (
レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きってないんですか？待ってます (3月20日 22時) (レス) @page12 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2024年1月28日 17時
