3度目の蒼穹 3 ページ15
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おかしい。私は確かに殺された。夏油に、体中の骨を折られた。断言出来る訳じゃない。でもあの生々しい、自分の体から聞こえる悲鳴を、圧迫された感覚を、忘れるには鮮烈すぎる。
何で生きているのか。奇跡的に硝子の反転術式で助かった？あの状態からでも息さえあれば何とかなるだろうか。
ようやく深く息が吸えるようになり、まだ浅い呼吸をゆっくり繰り返す。
痛む喉を抑えながら、ゆっくりと1音ずつ言葉を発する。それでも、私の口から出た声はかすれていて聞こえにくい。
「は、てんじゅ、し」
「反転術式？……は、かけてないよ。反転術式で治せるのは傷だけだから。さっきのAは明らかにパニック状態だったし」
パニック状態……硝子の発言から思案していれば、脳みそに響くような耳鳴りが走った。思わず頭を抑え、そしてその耳鳴りと共に酷い叫び声を思い出す。
誰かの金切り声のような叫び声を、絶叫を。聞いた覚えがある。しっかりした記憶が無いから分からないけど、この叫び声が私のだとすれば、硝子の発言のパニック状態というのも説明が着く気がする。
「五条と夏油が心配してたよ。教室で眠りこけてたのに急に叫び出すから」
夏油。
その単語に、比喩ではなく心臓が大きく波打つように跳ね上がる。硝子の話題にも当たり前のように夏油が出てくる。この状況も、知っている。前もこうやって、離反したはずの夏油が当たり前のようにまた私たちといる事を経験した。
でも、私はその時、夏油が離反したことも全部、夢だと思い込んだ。強烈なデジャヴ。それでも、確信に似たものがある。
バクバクと鼓動を繰り返す心臓の音が、私を急かすように鳴り響く。
「しょ、こ、今、何年の何月……？」
この質問を、『前回』は誰にしたんだっけ。私の中では一年以上前の出来事だ。記憶も朧気になっていく。
心臓の音と呼応するように早まる呼吸。息も絶え絶えにそう聞く私に、硝子は心配そうに眉を下げて、答える。
硝子の口が紡ぐ言葉を、待つ。
「2006年の7月だけど」
記憶がある。重複するような記憶が。私が、2度も殺された記憶が。
どういう事だろう。私はまた殺された。またってなんだ。2回、2回も。同じ結末を辿った。ああ、最悪だ。これは夢なんかじゃない。現実だ。私は確実に＿＿＿＿
あの初秋までの1年と少しをループしている。
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えりんぎのバター炒め(プロフ) - ゆうさん» 続きあります！亀さながらのゆっくり更新ではありますが、今後もお付き合いいただけたら幸いです🤗 (4月13日 17時) (
レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きってないんですか？待ってます (3月20日 22時) (レス) @page12 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2024年1月28日 17時
