蒼穹を探して 31 ページ1
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薄暗い安置室。上からかけられた白い布は、その人の体をふちどって凹凸にシワがついている。それでも不自然に、その布がある箇所からぺたりと平坦になっている。それは人間の、腹の位置、で。
それは、その人物の下半身が無＿＿＿＿＿
「はい……ばらぁ……」
あの太陽みたいな笑顔を、たった数時間前に見た。ちょうど任務が一息ついて高専に帰ってきた頃、たまたま廊下で鉢合わせた。
七海と任務なんです！なんて張り切った様子の灰原に、そんなのいつものことでしょうと呆れたようにため息をつく七海。
本当に2人はいいコンビだと、そんなふうに思いながら、頑張れって。そう。
なんで、見知った彼らが、これからも当たり前のように生きていてくれるなんて思っていたんだろう。
だって私たちは、
呪術師だ。
何をするにも億劫に感じた。
軟体動物か何かにでもなったかのように、両手は吊り下がり重石のような煩わしさがあった。
今朝みた灰原の笑顔と、先程安置室で見た、灰原であったなにか。脳内を行ったり来たりするそれは、徐々にその境目を溶かしていく。
気持ち悪い。
そう自覚した時には遅くて、強烈な吐き気を催す。脳みそがぐわりと揺れたような気がした。酔いにも似た目眩が視界を回す。
寮の部屋につき、トイレに駆け込んだ。
気持ち悪い。それだけで頭がいっぱいだというのに、安置室の光景を何度も何度も思い出す。
嘔吐いて、吐いて楽になれたらまだマシだというのに、胃からせり上るそれを感じることは無い。
冷や汗か、脂汗か。額を伝ってポタリと便器の縁に汗が落ちる。
ああやばい、わたし。
体内を掻き回されているのかと思った。そんな錯覚をしてしまいそうになるくらい、今は気分が悪い。
体調も、情緒も、思考も、気持ち悪いで埋め尽くされる。
くらりと後ろに倒れそうになった後頭部が、何かで固定された。それが何か、視覚も感覚も鈍った私には分かるはずもなく。
ただ物凄く遠くから聞こえるような音を拾うことに必死になる。だってそれは安心するものだから。
「……い、おい、A」
ぐるぐる、ぐるぐる。
思考が回る。誰だっけ。音。違う、声。
安心する声だ。知ってる。ずっと。頼りにしている。
「大丈夫か？おい、硝子んとこ行くぞ」
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えりんぎのバター炒め(プロフ) - ゆうさん» 続きあります！亀さながらのゆっくり更新ではありますが、今後もお付き合いいただけたら幸いです🤗 (4月13日 17時) (
レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きってないんですか？待ってます (3月20日 22時) (レス) @page12 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2024年1月28日 17時
