Sleep.10 ページ10
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「じゃ、ヨロシク〜」と、軽い口調でヒラヒラと手を振った五条の背中を見届け、十分に距離ができたのを見計らい帳を下ろす。
「闇より出てて闇より黒く、その穢れを禊ぎ払え」
どぷりと、空中から暗闇が生まれ、弧を描き空を飲み込むように落ちてくる。
私と五条の間を帳が隔てる。その瞬間。
振り向いた彼の視線と私の視線が交差した。
そんな一瞬を割くように宵闇が彼の姿を隠す。
「な、なんだ……?」
残された私はといえば、帳が降りる最後の瞬間の五条の行動に戸惑ってしまう。
まあ、五条は私の理解の範疇を超える行動をする事に定評(私調べ)があるので、いつもの事かと首を振った。こうやってアイツのペースに呑まれていくのだ。
いけないいけない。こういう隙間時間に、午後から入っていた術師送迎の代替を他の人に頼まなければ。
連絡をとろうとスマホを取り出した。
と、同時に目の前にあった宵闇が霧散する。私がつい先程降ろしたばかりのそれが、音もなく消し去る。空をも喰らいつくさんとしていた宵闇はあとも残さずに空へ溶けた。
つまりそれは、帳の解除を意味する。
帳の解除条件は帳内の呪霊が祓われるか、術師が死ぬか。しかし、五条がこの程度の任務___急に連れてこられたので詳細は知らないが___で死ぬはずがない。
とすれば必然、帳内の呪霊が他ならぬ五条の手によって祓われた事になるが______。
「早すぎでしょ……」
本当に、私が帳を降ろしたのはつい数十秒前の事だ。1分経ったかだって怪しい。
呆気にとられていれば、解除された帳の向こうから五条が歩いてくる。
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もなか - 初コメント失礼いたします!五条がかっこよすぎるし、はぁ・・・私のところにも夜来てほしい。(絶対いい夢見れる) (12月14日 16時) (レス) @page13 id: bed5cc04c4 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - にぃ!さん» †┏┛墓┗┓† (8月12日 21時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
にぃ! - 神作!グハッ、誰か墓頂戴、 (8月7日 21時) (レス) @page7 id: 71597d68ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ | 作成日時:2023年8月4日 19時