Sleep.9 ページ9
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ぼんやりと回想に浸ろうとすれば、後ろから聞こえた脳天気な声にピシリと体が固まる。夜会うだけでも苦痛なのに昼から会うなんて。ツイていない。
「あ、五条先生!」
コイツのために振り返るという動作すら億劫に思えた私がダンマリを決め込んでいる間にも、虎杖くんが五条に呼びかける。
「あれ、傑もいんじゃん……ってA?めずらしーねここにいるの。あ、もしかして僕に会いに」「来てるわけねえだろ」
放っとけば自分勝手な解釈をしようとする五条に思わず否定し振り返る。目隠しをしていてもニヤニヤとしているのが見て取れて尚ムカつく。
「えーだっていつもこーゆーとこにはいないじゃん」
「だからってなんで五条に会いに来たっていう事になるんだよ。ありえねえわ」
ペースを乱される感覚に苛立ちが募る。後ろで虎杖くんたち1年ズが「阿波さんって五条先生と話すと態度違うね」「アイツの事だからAさんのこと怒らせてるんでしょ」なんて話している声が聞こえた。
「まーどっちでもいいや。ちょうど良いし」
「?何が……」
五条が大股で私に歩み寄り、あっという間に私たちの距離が縮まる。するりと細くしなやかな手が私の手を掴んだ。
長年の感だろう。ろくでもないことを考えていることが分かり、やばいと手を振り払おうとした時には遅かった。瞬きする間もなく景色がガラリと変わる。
たった今目の前にいた生徒たちの姿はどこにも見えなく、おどおどしい雰囲気の森林が広がっていた。
「やられた」
「ねー帳降ろしてくんない?」
午後からは他の術師の送迎が入っているのに。
その事を伝えれば「別に他の補助監督にやらせればいいじゃん」なんてクソみたいな回答が返ってきた。
どうやら私は五条の任務に同行させられたらしい。五条の術式を使った強制移動で。
帳くらい自分で降ろせるだろうに。私を連れてきたのは面白半分なのだろう。
クソデカため息をついていれば「幸せが逃げるよ〜」とからかい混じりに言われたがお前がいる時点で逃げてるんだわ。
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もなか - 初コメント失礼いたします!五条がかっこよすぎるし、はぁ・・・私のところにも夜来てほしい。(絶対いい夢見れる) (12月14日 16時) (レス) @page13 id: bed5cc04c4 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - にぃ!さん» †┏┛墓┗┓† (8月12日 21時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
にぃ! - 神作!グハッ、誰か墓頂戴、 (8月7日 21時) (レス) @page7 id: 71597d68ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ | 作成日時:2023年8月4日 19時