Sleep.3 ページ3
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最初はそりゃあ酷かった。
一睡も出来ないのだから苦痛でしょうがなくて、任務なんて以ての外。それに気がついた五条が、すぐに私が祓い損ねた呪霊を祓いに行ってくれたのだが、
「なんて言うんだろうね。後遺症的な。残っちゃったのか、それともまだ微量の呪いが消えてないのか、不眠症になっちゃったってこと」
私が説明すれば、後部座席が静まり返る。
何か空気重くさせちゃったかな……と自分の発言を少し悔いていれば、恵くんが「そういえば」と口を開いた。
「あの人、まだ通ってるんですか?」
あの人、と恵くんが言うその言葉が誰を指すのか瞬時に分かってしまい、低く乾いた笑いが零れた。
「来てるよ。毎晩飽きずにね」
「……毎晩ですか」
「意地でも毎日来てるね。遅かった時は5時とか」
「早朝じゃないですか」
まったく見上げた根性だ。あっちもあっちで任務で大変だろうに。わざわざ時間作って来なくても、私はちっとも困らないのに。
はん、と呆れ気味に笑えば、私たちの会話の意味を汲み取れなかった釘崎さんと虎杖くんがそろって首を傾げていた。
「誰か阿波さんの家に通ってるんですか?」
「もしかして彼氏さん!?」
後者の目を輝かせる釘崎さんには申し訳ないが、そんなかわいくて甘酸っぱいものものでは無い。
「そうだね、彼氏なんて素晴らしいものだったらどれだけ良かったか……」と呟く。恵くんもその、憐れむ目をやめて欲しい。
ははは……と真っ黒な瞳で遠くを見ていれば、ため息をついた恵くんが口を開いた。
「五条先生だよ」
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もなか - 初コメント失礼いたします!五条がかっこよすぎるし、はぁ・・・私のところにも夜来てほしい。(絶対いい夢見れる) (12月14日 16時) (レス) @page13 id: bed5cc04c4 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - にぃ!さん» †┏┛墓┗┓† (8月12日 21時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
にぃ! - 神作!グハッ、誰か墓頂戴、 (8月7日 21時) (レス) @page7 id: 71597d68ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ | 作成日時:2023年8月4日 19時