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「っアイツ……」
「何かAちゃん様子おかしかったね」
松田と俺の目の前でドアがパタリと閉まる。
扉の向こうから追い打ちをかけるような金属音が聞こえた。すぐにチェーンもかけたのたのだろう。防犯上いい事なはずなのに俺らを拒絶するような意図を感じた。
松田は何か言いたげにそのドアを睨みつけて、それでも意味の無い事だと分かったのか、大きいため息をついて歩き出した。
何だかよそよそしく感じたAちゃんの態度に、何かあったのかと思い聞けば、「まあ」と濁したような返事が返ってくる。
「あー」
「ホントに何したの陣平ちゃん……」
結局Aちゃんには怒られたけれど、良かれと思って今日は2人きりにした。
どう見ても両想いの2人だ。キッカケさえ作ればくっつくんじゃないかと。そこまで行かなくてもいいキッカケになればいいななんて思ってのことだった。
Aちゃんは気づいていないのだろうが、松田は昔も今もAちゃんが好きだ。
だから合コンで会った時も、いいチャンスだと思ったし、同窓会で会っていたと聞いた時もこれはいい感じなんじゃないかと思った。実際二人は昔のように仲良さそうに会話していたし。
しかし、先程のAちゃんの帰り際の態度。陣平ちゃんは自分がした事でAちゃんが怒っていると思っているようだったが、
どう考えても急におかしくなった気がしたんだよな……。
俺らが話している最中、ふいに考え込むように俯いた彼女は、少しして顔を上げた。例えるなら、まずい、みたいな。そういった小さな焦りを感じたような表情をしていた。
そのすぐ後に俺らは追い出されるように帰宅を促された訳だが。
……と、これ以上の詮索は野暮だろう。AちゃんにもAちゃんの考えがあるものだし。遅かれ早かれ2人はきっとくっつくはずだ。……多分。
まあそれも半分は親友にかかっている。
「……頑張れよ陣平ちゃん」
「うっせ」
そうやって親友を鼓舞したのも虚しく、その日以来Aちゃんとは松田も俺も、ろくに連絡が取れなくなった。
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✧︎ - 本当に好きすぎて一気読みしてしまいました…素敵な作品をありがとうございます!! (4月14日 1時) (レス) @page50 id: 28351a5556 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - あわさん» はわわわ神作?神作なんて言ってもらえるんですか……?すごく嬉しいです!私の文章力で松田陣平の素晴らしさを伝えきれているのか分かりませんが……笑 更新頑張らせていただきます💪 (2023年4月16日 18時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - 素晴らしい…神作すぎる…更新待ってます! (2023年4月16日 8時) (レス) id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - ???さん» ひぇぇ好きだなんて言って貰えるなんて……ありがたいです!続き書きます!そちらこそ体調に気をつけてくださいね(*´﹀`*) (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - アリアさん» 本当ですか!?そう言ってもらえるなら喜んで続きを書かせていただきます(^ - ^ )コメントありがとうございます! (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ | 作成日時:2023年2月22日 17時