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私が松田くんを好きになったのは高校生活も残り1年といった時だった。
思い出の欠片を辿れば、鮮明に思い出せる。きっかけは隣の席になった事だ。
最初は松田くんの事は、噂でよく聞く男の子、といった印象だった。その噂も怖いけどイケメンだとか、誰かが松田くんに告白したとかその程度の小さなもの。
女子が好きそうな話だ。風の噂で流れてきては、ああたまに聞く名前だなあとぼんやり思ったものだ。
一度友人にせがまれ松田くんを見にわざわざ他クラスまで出向いた事があったような気もするが、噂のような怖そうという印象しか持たなかったように思う。
そんなこんなで迎えた高校3年生。その頃にはもうほぼ忘れかけていた噂の張本人、松田陣平と同じクラスになった。
といいつつも私自身そこまで興味もなく、この人同じクラスなんだなという程度の認識だった。
しかし問題なのはその後少ししてからの席替えで隣の席になったことだ。
「なあ、アンタ名前なんて言うんだ？」
『え、私？』
「アンタ以外誰がいんの」
不意打ちで名前を聞かれ最初は戸惑ったが、「えと、高瀬A……です」と言えば、「おう。俺は松田陣平な」と意外に律儀な自己紹介が返ってきた。
自己紹介とかするんだ。案外礼儀正しい人なのかな。
そんなのが松田くんに対する第二印象だ。
その自己紹介の後から、ちょくちょく話しかけてくれるようになった松田くんとは、2ヶ月も経たないうちに仲良くなった。
次第に、松田くんの親友である萩原くんとも打ち解け、3人で一緒に帰るようにもなった。
そんな日々の中で、ちょっと不器用で口が悪いけど優しいところや不真面目だけど正義感が強い松田くんに私は惹かれていったのだと思う。
そして私は、萩原くんが用事があると言い残して先に帰った日、松田くんに帰りがけ教室で告白した。初春の風が吹き抜ける、卒業の時期だった。
『私、松田くんが好きなんだ』
「……は」
だというのに、そこで振り絞った勇気は、告白を言い終えてから急速に、空気の抜けた風船のように呆気なくしぼんだ。私は最後の最後で臆病になってしまった。
『返事は、いらないから。伝えたかっただけだから……』
「…………おう。分かった」
そんな気まずい空気をにしておいて今まで通りなんて出来るはずがなく、私たちは不格好な関係のまま、卒業して会わなくなった。
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✧︎ - 本当に好きすぎて一気読みしてしまいました…素敵な作品をありがとうございます！！ (4月14日 1時) (
レス) @page50 id: 28351a5556 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - あわさん» はわわわ神作？神作なんて言ってもらえるんですか……？すごく嬉しいです！私の文章力で松田陣平の素晴らしさを伝えきれているのか分かりませんが……笑 更新頑張らせていただきます💪 (2023年4月16日 18時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - 素晴らしい…神作すぎる…更新待ってます！ (2023年4月16日 8時) (レス) id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - ？？？さん» ひぇぇ好きだなんて言って貰えるなんて……ありがたいです！続き書きます！そちらこそ体調に気をつけてくださいね(*´﹀`*) (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - アリアさん» 本当ですか！？そう言ってもらえるなら喜んで続きを書かせていただきます(^ - ^ )コメントありがとうございます！ (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ | 作成日時：2023年2月22日 17時
