高校時代にフラレた相手が合コンに来た。 ページ12
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ザワついた店内は、夜には眩しいほど明るい照明に照らされている。何十にも重なった人々の喧騒は、雑音と化していた。
そんなとある居酒屋の一室。
『え、は?』
「あ?」
「あれ?もしかしてAちゃん!?」
合コンで高校時代にフラれた相手(+α)と再会した。
一言いわせて欲しい。
ど う し て こ う な っ た。
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とても不本意な、合コンなどという場に行くはめになった過程を、遡ること3日前。
私の目の前には、「お願い!」と、頭を下げる大切な友人が2人。私は、これでもかと首を横に振りながら、そんな彼女らの言う“お願い”とやらを全力で拒否していた。
「いいじゃんっ!合コンくらい!
3人って言っちゃったし、A今フリーでしょ?」
『むりむりむりむり』
そう、この友人2人が勝手にセッティングしてきた合コンとやらに私を参加させようとしてきているのだ。
確かに1ヶ月前くらいの同窓会で私は長年片思いしていた松田くんへの思いを断ち切ったが、そんなにすぐに新しい出会いを求めているわけじゃない。
むしろ当分恋愛はいい。
そろそろ流れに身を任せて慎ましく生きさせて欲しい。
『今恋したい気分じゃないから』
「まあまあそう言わず!行ったらいい人いるかもだし、いなかったらそれまでじゃん」
人数合わせの為だけでもいいからっ、ね?と可愛く懇願してくる。生憎私は友達のお願いをそう簡単に断れるほどの強い度量は持ち合わせていなかった。
ため息をついて、頭を抱えながら渋々おーけーすれば、2人は手を取り合って喜んでいた。
もういいや。外食しに行くだけ、くらいに思おう。
ただし耐えきれなくなったらひとりでも帰るから!と口を酸っぱくして言っておいた。
あの時の私を心底恨みたい。何で断らなかった私。
お店に入り3人で話していれば、お相手の方々が来たらしく、居たのは高校の同級生2人。と知らない人が1人。
1人は昔からイケメンだと騒がれ高校時代私の友達秒で落とした女たらしの萩原くん。そして、もう1人が私が最近まで好きだった相手、松田くんその人だった。
「私帰るね」
逃げるが勝ちである。
え?え?と混乱している友達2人を置いてけぼりに席を立ち、お店の出入口へと駆け抜けようとすれば、パシリと腕を掴まれた。
さいっあくだ。
ギギギと油が切れた機会のように掴まれた手の方へ視線を向ければ、絶対零度の目でニコリと笑った松田くんがいた。
絶体絶命ってやつだろうか。
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✧︎ - 本当に好きすぎて一気読みしてしまいました…素敵な作品をありがとうございます!! (4月14日 1時) (レス) @page50 id: 28351a5556 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - あわさん» はわわわ神作?神作なんて言ってもらえるんですか……?すごく嬉しいです!私の文章力で松田陣平の素晴らしさを伝えきれているのか分かりませんが……笑 更新頑張らせていただきます💪 (2023年4月16日 18時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - 素晴らしい…神作すぎる…更新待ってます! (2023年4月16日 8時) (レス) id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - ???さん» ひぇぇ好きだなんて言って貰えるなんて……ありがたいです!続き書きます!そちらこそ体調に気をつけてくださいね(*´﹀`*) (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - アリアさん» 本当ですか!?そう言ってもらえるなら喜んで続きを書かせていただきます(^ - ^ )コメントありがとうございます! (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ | 作成日時:2023年2月22日 17時