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思わず口から飛び出した声は、思ったより大きかったらしく、会場内に響き渡った私の声に周りがザワザワとこちらに注目する。ハッとした時には皆の視線が私に集まっていた。元同級生達とはいえ、さすがにこれだけの人数の視線を浴びるのは恥ずかしい。
「うるっせ。声デケェんだよバカ」
「いや、だって、ねえ!?
松田くんが変な事言うからじゃん」
私がそういえばゆるく首を傾げる松田くん。
なんだその反応。まさか変な事を言った自覚がないとでも言うのだろうか。それに加えてそのあざとい仕草。いい歳した大人のくせに、そんな可愛い仕草が似合うと思うなよ。
いや、事実似合ってはいる。
なんだってんだちくしょう。イケメンだからか?イケメンだからなのか?
世の中つくづく理不尽ではなかろうか。
「くっそこれだからイケメンは」
「は?」
「すいませんなんでもないです」
それにしてもこの短時間での情報量が半端ない。現実逃避気味に逸れていた思考もそこそこに、今しがたあったことが脳を駆け巡る。
恥ずかしいやら、困惑やらで上がった体温を冷ますために横にあった水を一気に飲み干す。
いや、待って。本当にどういうこと?
好きだった?
松田くんが、高校時代、私のことを?
「嘘じゃん」
「嘘じゃねぇって」
「私の事フッたじゃん」
「いやフってねえし」
私が「ん?」と、また間抜けた反応を返せば、彼はジト目で軽くため息を着く。なんだその反応。
「本当に?フッたよね?」
「何回言わせんだよ。フってねえっつの」
やれやれとでもいいたげな彼の様子に、私もいよいよ自分の記憶を信用出来なくなってきた。
これは私の記憶がおかしいのだろうか。
でも、確かに私は高校生の頃、彼に告白したのだ。
告白して、付き合うまでに発展しなかったのはつまりそういう事だろう。
交際に発展しなかった時点で私はフラれたものだと思い込んでいただけなのだろうか。
……なにか大きな記憶違いをしている気がする。
もしそうなら私は今までどんな気持ちで____。
いや、今はそんなことはいい。取り敢えず……。
「じょ、状況を整理しよう……」
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✧︎ - 本当に好きすぎて一気読みしてしまいました…素敵な作品をありがとうございます!! (4月14日 1時) (レス) @page50 id: 28351a5556 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - あわさん» はわわわ神作?神作なんて言ってもらえるんですか……?すごく嬉しいです!私の文章力で松田陣平の素晴らしさを伝えきれているのか分かりませんが……笑 更新頑張らせていただきます💪 (2023年4月16日 18時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - 素晴らしい…神作すぎる…更新待ってます! (2023年4月16日 8時) (レス) id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - ???さん» ひぇぇ好きだなんて言って貰えるなんて……ありがたいです!続き書きます!そちらこそ体調に気をつけてくださいね(*´﹀`*) (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - アリアさん» 本当ですか!?そう言ってもらえるなら喜んで続きを書かせていただきます(^ - ^ )コメントありがとうございます! (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ | 作成日時:2023年2月22日 17時