高校時代にフラれた相手と同窓会で再会した【松田陣平】

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そういえば男はこの事件を起こした動機を語っている時、仕事辞めさせられた、なんて言っていた。だからここも知ってるのか。

それに鍵も。

鍵は男たちに持っていかれただろうし脱出手段がない。窓は備品の入っている棚の後ろだし(重くて退かせない)、その前に手足が縛られている。

ガランとした備品室に1人。隣には無慈悲にタイマー音を響かせる爆弾。

あと何分で爆発するのかさえもカバンの中にあるから見ることができない。手足が縛ってあるせいでカバンも開けられないとか。

まさか爆弾とランデブーする事になるとは……。

正直泣き叫びたいし、身体中の震えも止まらない。
そもそも皆は大丈夫なのか。

犯人たちは死ぬ訳には行かないと思うし爆発する前にビルから出るつもりなんだろう。
そう思うとあとどれくらいで爆発するのか。ここのビルの人たちの避難は間に合うのだろうか。

そもそも、爆弾はここだけ？私の隣にある爆弾にこのビルを丸々吹っ飛ばせるような威力があるとは到底思えない。男たちの目的は会社の損失なのか？

嫌な想像ばかり頭をめぐって不安が増す。



何してんだろ、私。
こんなはずじゃなかったのにな。

こんな所で死ぬんだったら、もう少しちゃんと……



松田くんと話しておけばよかった。



『はは……全然諦めれてない……』

死に際に思い立つことがそれだなんて。掠れた笑い声が漏れる。今松田くんの事考えるとか、時間を置いても会わなくなっても、松田くんの事諦めきれてない証拠だ。

こんな自分がバカみたいで、涙が滲む。

あとどれくらいこうしていればいいんだろう。隣に爆弾があるというストレスを積み重ねるくらいだったらもういっそ、爆発してしまえば楽に……

いや、まだ皆避難しきれていないんだったら、これは私に都合のいいだけの傲慢な願いだ。
だって誰かがこの爆弾で死んでしまうかもしれないのに。

それに死にたくないから、今も私の体は恐怖に震えているのだ。爆発してしまえ、なんて、ただの強がりだ。かっこ悪い。


静まり返った室内には隣に爆弾があるというその事実を強調するかのように、ぴ、ぴ、と鳴るタイマー音。

疲労とストレスで意識が飛びそうになる時間を繰り返す。

時間の感覚も狂ってきた。もう随分と長い間ここで爆弾と過ごしているように感じる。
本当にずっと長い時間ここにいるのか、それとも本当はほんの数分なのか。


怖い。

怖い怖い怖い。

死ぬのは、怖い。


『た、すけて』


松田くん。

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