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「いや、確かに二人にしたのは故意だけど本当に俺も仕事で呼び出されてたんだって」
萩原くんが何故私が住んでいるところを知っているのかという謎も解けていないが、それより先程された事はまだ許していないため顔を顰めれば、つらつらとそんな言い訳を述べる。
そもそも本当にどういう状況なのだろうか。私たちの気まずい空気を見越しての来訪なら、グッドタイミングすぎて頭が上がらない。
あの空気のまま、あと数分でも松田くんと同じ空間に居たなら私は壁に頭を打ち付けるしかなかっただろう。
何のためってそりゃあ記憶の抹消のためだよね。
密かにそう考えていれば、「で、なんでお前ここがAの家だって知ってんだよ」と松田くんが再度同じ質問を重ねる。
思わず声がした方を向きたくなるがどんな顔をして松田くんと顔を合わせればいいのか分からないためグッと抑えた。
「前にここら辺通った時にちょうどAちゃんがここに入っていくの見てさ。家行っても陣平ちゃんいないし、もしかして、と思ってきてみたんだけど」
『へぇ……』
「違うよ!?ホントにたまたまだから!ストーカーとかじゃないし」
「うさんくせぇな」
「陣平ちゃん!?」
本当の事なんだろうな、とは頭の隅で分かっていても胡乱げな視線を向ければ、萩原くんが必死に取り繕う。
逆効果だっていう意識は無いのかな。
漫才のような会話を繰り広げ始める2人を見ながらふと思い浮かんだのは高校時代の記憶だ。
昔もこんなふうに、2人のバカな会話を聞いて笑っていたなあなんて。
三人で帰路につくのだって毎日の楽しみだった。二人と居られることが私には嬉しくて、それで_____
この数年間、こんな風に二人と笑って過ごせなくなったのは、私の告白のせいで。
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✧︎ - 本当に好きすぎて一気読みしてしまいました…素敵な作品をありがとうございます!! (4月14日 1時) (レス) @page50 id: 28351a5556 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - あわさん» はわわわ神作?神作なんて言ってもらえるんですか……?すごく嬉しいです!私の文章力で松田陣平の素晴らしさを伝えきれているのか分かりませんが……笑 更新頑張らせていただきます💪 (2023年4月16日 18時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - 素晴らしい…神作すぎる…更新待ってます! (2023年4月16日 8時) (レス) id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - ???さん» ひぇぇ好きだなんて言って貰えるなんて……ありがたいです!続き書きます!そちらこそ体調に気をつけてくださいね(*´﹀`*) (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - アリアさん» 本当ですか!?そう言ってもらえるなら喜んで続きを書かせていただきます(^ - ^ )コメントありがとうございます! (2023年2月26日 17時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ | 作成日時:2023年2月22日 17時