高校時代にフラれた相手と同窓会で再会した【松田陣平】

高校時代にフラれた相手とご飯食べた。 ページ22

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その日は、合コンの時にいつの間にか連絡先を交換させられていた萩原くんからメッセージが来ていた。

合コンの時に先に帰ったのを謝ったのが最後のメッセージでこの先に新しく連絡が来ることはないと思っていたがそれは違ったようだ。

軽薄そうな《Aちゃん、明日空いてる？》の文字が苛立ちを煽る。何だコイツ。

余談だが、あの合コンの後、松田くんには何も連絡は送らなかった。

あれは松田くんが悪い。ぜひ反省して欲しい。こっちはようやく頑張って長年の恋を忘れたばかりだというのに何だあの態度。そんなんだから後ろから刺されるんだばーか。



どう返信しようか頭を悩ませていれば、一緒にいた友人2人に私のトーク相手の名前が見えてしまったようで物凄い勢いで問いただされた。

萩原くんから連絡！？だの、結局Aは萩原くんなの？松田くんなの？だの。

マジで落ち着いて欲しい。どっちでもない。


なんてきたの！？と詰め寄られ、渋々メッセージを見せれば、両隣で興奮した2人が私の肩を揺さぶってきた。「デートのお誘いだよ！」「でぇと！」「どうするのA！」

切実に黙って欲しい。

揺さぶられて酔いそうになったので、一度2人を引き剥がし、ポチポチと文字を打つ。

《空いてません》

メッセージアプリを閉じ、二人に向きなおろうとすれば、また軽快な音が鳴る。

《ご飯行かない？》

萩原くんってこんなに人の話を聞かない人だったろうか。いや、この場合人の話を読まないなのか。

「うわ、やっぱりデートのお誘い……！」「やー！Aすごいイケメンひっかけたねぇ！」

いやだからデートでは無い。萩原くんとは断じてそういう関係では無い。となれば……
2人のうるさい反応はさらりと無視しつつ、私は少し考えてからまたメッセージをうつ。


《なんか裏あるよね？》


既読の文字がつき、間を置くような数秒後。


《てへぺろ》


よし、ブロックしよう。
思い立ったが吉日とかいうやつだろうか、ブロックの文字に意気揚々と指を伸ばせば、そうすることが分かったような如く立て続けにメッセージが届く。


《違うよ！？裏ってほど裏じゃなくて》

《本当来てくれるだけでいいから》

《奢るし》


最後のメッセージに、指をピタリと止める。
奢る。つまりタダ飯。それ魅惑的だなあ。

口に出ていたのか、友人2人がドン引きしたように「コイツイケメンよりタダ飯に引かれてるぞ」「ヤベェ奴だ」

うるさい。
人間いつでもただ程嬉しいもんはないだろ。

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