【 FGO 】大地を舞い飛ぶ蝶の様に。【 短編集 】

▼ 誘拐《 新茶 》 ページ2

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あまりに彼女が美しかったので軽率に攫ってみた。
勿論おかしな理屈だと云う事は重々理解しているが、口上手に口説くよりかは攫う方が悪役(ヴィラン)としても格好がつく。
正直のところ、自分の顔には自信があるので一際丁寧に優しくすれば簡単に堕ちるだろうと肩を括っていた。
_____ が、然し 。
美しい彼女は私の期待を当然の如く裏切り、全く心を開いてくれない。

「 マイガール ? 」
「...... なに、 」

何に対しても、ツーンとしていてマトモに顔を合わせてくれないと来た。
そこで私は、“ 押し倒したら意外とイケた ” なんて事を聞いたことがあったので早速実践でもしてみることにしたが、

「 いや..ｯ、やめて…や、やめ…っ誰か..ぅ、たす助け、やだぁｯ…。うっううう… 」

と、泣かれてしまったのでやめておいた。
生憎私にはレディを泣かせる趣味は無いし、何よりあの泣き方は良心が痛む。

それに、私の前では強がって、憎たらしくも意地を張って何事にも頑固でいる彼女だが一人になったら泣いているし。
マイガールの為に買ったシルクでとても生地の良い一品のドレスを用意してあげてもなかなか着てはくれないし、正直 彼女の扱いにかなり困っている。

「 ネェ , 君は一体何が不満なんだい ? 」
「 知らない。あっち行って。 」

相変わらずの冷たさ。然し、それよりも残酷なまでに私を困らせているものがある。

「 ... ダディを私の我儘で困らせたく無いの。お願い、わかって？」

____ はァ、全く。溜息をつきたくなる程にけしからんのは彼女のこう云うところだ。
何故なら、どれだけ冷たくあしなわれても、偶に可愛いところを見せてくれるマイガールが愛おしくて仕方ないと思ってしまう。

「 ... うーん, 参ったなァ。」
どうやら私は相当単純な野郎で自分はかなり彼女に惚れ込んでしまっているらしい。



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